マイナビが実施した「アルバイト就業者調査(2024年)」によると、アルバイト就業者全体のうち31.5%が「就業調整をしている」と回答した。属性別では、大学生の40.4%が就業調整をしていた。厚生労働省が発表した9月分の毎月勤労統計調査では、物価の影響を考慮した働き手1人あたりの「実質賃金」は前年同月より0.1%減り、2カ月連続でマイナスに。基礎控除と給与所得控除の最低保証額は約30年前から変わっておらず、「年収の壁」問題の1つの要因となっておりこの問題は、大学生の“働き控え”にも影響していると考えられる。

大学生アルバイト就業者の40.4%が「就業調整をしている」‐7割が「103万円の壁」を意識

就業調整をしているアルバイト就業者の就業調整ラインを聞いたところ、全体では「自分の所得税の非課税限度額を超えないようにする(103万円の壁)」が41.9%と最も高かった。また、大学生は「103万円の壁」が68.0%ともっとも高く、全体と比較をしても特に高い結果に。年収103万円を超えると税法上の扶養から外れ、特定扶養控除に影響することも考慮していると考えられる。

「年収の壁」が撤廃された場合、7割の大学生が「もっと働きたい」

就業調整をしているアルバイト就業者のうち、「年収の壁」がなくなった(一定の年収額を超えて働いても手取りが減らなくなる)場合、「もっと働きたい」とした人は54.6%。大学生では72.1%だった。また、大学生のアルバイト就業者に経済的ゆとりがあるか聞いたところ、「経済的ゆとりがない(「あまりゆとりがない(38.7%)」+「全くゆとりがない(10.5%)」の計)』は49.2%に上った。大学生が「103万円の壁」のために“働き控え”を行う現状や、経済的な余裕がないとする人の存在がうかがえる。

大学生のアルバイトの「希望の年収」は「103万円以上」が19.1%

大学生のアルバイト就業者の「現在の年収」は「90万円~102万円(28.8%)」が最も多かった。一方で、「103万円以上」は4.9%にとどまっており、「103万円の壁」を意識して就業時間や収入を調整している傾向がうかがえる。また、大学生のアルバイト就業者の「希望の年収」では「103万円以上(19.1%)」と、5人に1人は103万円以上の収入を希望している結果となった。

調査担当者コメント(マイナビ キャリアリサーチラボ 研究員 宮本祥太氏)

「この調査では、3割を超えるアルバイト就業者が就業調整を行っている実態がわかりました。特に、アルバイトをする大学生の多くが所得税の控除に関わる『103万円の壁』を意識して働いているようです。また『年収の壁』がなくなり、一定の年収額を超えて働いても手取りが減らなくなった場合、『もっと働きたい』とした大学生は7割を超えています。大学生の経済的なゆとりのなさや収入の制限をしている実態もうかがえる結果となりました」


【調査概要】アルバイト就業者調査(2024年)
調査期間:2024年2月15日~2月19日
調査方法:インターネット
調査対象:現在アルバイトをしている10~70代の男女 9,000サンプル
調査主体:株式会社マイナビ(アンケートモニター提供元:外部調査会社)
※調査結果は、端数四捨五入の都合により合計が 100%にならない場合あり