マイナビは10月21日、「フリーランスの意識・就業実態調査2024年版」の結果を発表した。調査は2024年8月23日8月27日、全国の20-69歳の男女のうち、本業または副業でフリーランスに該当する業務を行っている1,000名(独立系776名、副業系224名)を対象にインターネットで行われた。

フリーランスとして独立した人のうち、約半数が会社員時より収入が「減った」

元会社員(正社員)で現在フリーランスとして独立している人に、働き方の違いを聞いたところ、「(会社員時代より)増えた」のは「仕事の進め方の自由度(79.9%)」が最も多く、次いで「私生活の幸福度(58.6%)」となった。対して、「(会社員時代より)減った」のは「仕事上のストレス(65.5%)」が最も多く、私生活も含めて充実している様子がうかがえた。

一方で収入については「増えた(計35.7%)」、「減った(計49.9%)」と、回答は様々だった。具体的な金額をみると、「ITエンジニア・開発系」は約73万円増加、「編集・ライター・印刷系」は約95万円減少しているなど、職種による違いがみられた。働き方の満足度では、全体の62.1%が「満足」、職種別にみても5割以上が「満足」と回答した。人によっては収入の減少はありつつも、働き方に満足している人が多いことがわかる。

  • 会社員の時と比べたフリーランスの働き方

  • 会社員の時とフリーランスとしての収入比較

  • フリーランスとしての働き方全体としての満足度

フリーランスとして働く上での不安は「収入の不安定さ(38.8%)」が最多

フリーランスとして働いている人の、働く上で不安なことは、「収入に波がある・不安定(38.8%)」が最も多く、次いで「収入額が少ない(31.6%)」となった。直近1年間の最高月収と最低月収をそれぞれ聞いたところ、最高月収は「50~80万円未満(18.1%)」が最多となり、平均すると53.5万円。一方で最低月収は「なし(37.6%)」が最多で、平均すると11.3万円となり、毎月一定の収入がある会社員とは違った不安定さがみられた。また、職種別にみると「ITエンジニア・開発系」や「コンサルタント系」は最高月収・最低月収どちらも平均より高く、「建築・施工系」の最低月収は平均以下だが最高月収は平均以上と、職種によって異なる不安定さがあった。

  • フリーランスとして働く上で不安なこと/最高月収・最低月収

  • 最も高かった時の月収×最も低かった時の月収

約5人に1人が取引先との金額・納期・仕事内容に「交渉の余地なし」

フリーランスとして独立し、企業・団体から業務委託をされている人に、金額などの条件面について取引先と交渉できる余地があるかどうか聞いたところ、「業務範囲・仕事内容について(75.0%)」、「納期・スケジュールについて(71.9%)」、「金額面の交渉(61.7%)」と、それぞれ6割以上が「交渉ができる余地がある」と答えた。

一方で、約5人に1人がいずれにおいても「交渉の余地がない(18.2%)」と答え、取引先に対して主張や意見をすることが難しい人も一定数いることがわかる。「金額面について」職種別に交渉余地をみると、「企画計事務」が84.4%で最も高く、次いで「コンサルタント系」が82.4%となった。最も低いのは「通訳・翻訳系」で35.9%と、職種によって交渉の余地に差があった。

  • 主な取引先との金額・納期・内容の交渉余地

「フリーランス新法」施行、3人に1人が契約トラブル防止に「期待できる」

フリーランスとして独立し、企業・団体から業務委託をされている人に「フリーランス新法」について期待感を聞いたところ、35.0%が「フリーランスとしての働きやすさの向上(総合的に)」に期待できると回答した。また、要素別では「契約トラブルの防止(37.8%)」に期待できるという回答が最も多かった。

「フリーランスとしての働きやすさの向上(総合的に)」について「期待できる」と回答した理由では、「法律を味方につけることができる」「いざというときの対応の仕方が判断しやすくなる」など、規則が明文化されたことを前向きに捉える回答や、「不利益があった時、意見できそう」といった、法律によって権利を主張しやすくなりそうという声がみられた。一方で、「期待しない」回答では「発注先が有利なことに変わりはない」「要望を言っていたら、仕事がなくなりそう」といった意見が多く、フリーランスが弱い立場である実態がわかる。

  • フリーランス新法への期待度

  • 新法による「総合的な働きやすさ向上への期待」回答理由