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故障者が相次ぐも、地力の強さでナ・リーグ西地区優勝を決めたロサンゼルス・ドジャース。しかし、レギュラーシーズンでの戦いとプレーオフでの短期決戦は全くの別物とされており、ドジャースの戦い方にも変化が求められる。そこで今回は、プレーオフでの戦いを見据えたドジャースの先発投手陣について詳しく見ていきたい。(文:Eli)
今シーズンのメジャーリーグは
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”プレーオフは弱い”を払拭出来るか
近年ポストシーズンでファンを失望させているロサンゼルス・ドジャースだが、その根底には先発投手陣の層の薄さがあった。程度の差こそあれ、どの年でも敗因となったのは優秀な先発投手の不足であった。
その最たる例が昨季のNLDSで、故障を抱えるクレイトン・カーショーをGame1、新人のボビー・ミラーをGame2、被弾癖のあるランス・リンをGame3に起用し、レギュラーシーズンでは圧倒していたダイアモンドバックスに屈辱の3戦3敗のスイープを食らってしまった。
そんな数年に辟易としたフロントは今季、三振を奪い相手を圧倒できる先発投手を求め5億ドル近くを投入し、山本由伸とタイラー・グラスノーを獲得。これにより先発陣全体の最大値を大幅に上げた。
加えてベテランのジェームズ・パクストンと契約し頭数を確保。さらにシーズン途中にはマイナーからの昇格や故障組の復活などで周りを固めるはずだった。
ところが、シーズン当初にエメット・シーアンがトミー・ジョン手術、シーズン中には山本が肩を痛め、デビューを果たしローテでの地位を確保せんとしていたリバー・ライアンもトミー・ジョン手術となってしまった。
頼みの復帰組ではウォーカー・ビューラーが手術後のスタイルチェンジに失敗、ダスティン・メイは再手術となりシーズン絶望だ。唯一ローテを休まず回し、孤軍奮闘していたギャビン・ストーン、故障しながらもエース級の活躍を続けていたグラスノーもシーズン終盤に故障となってしまった。
プレーオフを勝ち抜くための先発ローテは
まさに「傷だらけ」のドジャース先発陣だが、プレーオフをどのように戦っていくのだろうか。
現在残っているフロントライン先発は山本とジャック・フラハティ―だ。この2人をどのように起用するかがシリーズの行く末を大きく左右する。
第3先発はおそらくビューラーだろう。ミラーもいるが、現在の状態ではプレーオフでの登板は任せられない。スケジュールの関係上第4先発も必要で、これは今のところランドン・ナックになるだろう。
後は故障/リハビリ中のカーショー、ストーン、トニー・ゴンソリンの調子次第となるはずだ。
どのような順番で起用するかも非常に気になる点だ。現在のドジャース先発陣の状況で山本をGame1スターターに推したい。
現在のドジャース先発陣で最も制圧力があるのが山本で、NPBでのプレーオフ経験は豊富だ。昨季の日本シリーズGame1では大崩れしたが、最終戦では9回14奪三振と見事にバウンスバックする胆力を示した。
NLDSのスケジュールでは山本をGame1で起用した場合、次は最終戦のGame5で起用することになる。もしプレーオフ初登板で失敗したとしても、シリーズの展開によっては最終戦でリベンジできる。そんな役割をエースとして投手史上最高額で契約した山本に託したい。
ポイントは”Game4以降”…?
最も大きな問題はどのようにGame4を扱うかである。
山本、フラハティ―、ビューラーは成績の良し悪しはあれどもある程度確立された実績のある投手である。ところがこの3人以外となると話は大きく変わってくる。
防御率8点台のミラー、1年目のナック、ジャスティン・ロブレスキー、故障中で復帰の目途が立たないカーショーとストーン、トミー・ジョン手術からの復帰を目指すゴンソリンである。
実績があるのはカーショー、ストーン、ゴンソリンだが、それぞれ不安点を抱える。カーショーの登板を止めているのが足の親指で、現在痛みが引くのを待っている状態であるという。
これは即ち根本的に解決していない状態で登板をするということだ。ストーンは肩の炎症で離脱しており、無理をすると今後のキャリアに響く可能性がある。ゴンソリンはトミー・ジョン手術復帰直後ということもあり、全く計算できない。
健康な投手で最有力なのがナックで、今季は目立たないながらも安定した成績を残している。ローテのバックエンドにいる関係でチーム事情からメジャーとマイナーを行ったり来たり、さらには先発とロングリリーフどちらも任されている状況だが、全体的な成績は良い。
一方で、先発投手としては大きな不安が残る。先日のアトランタ・ブレーブス戦でも2回7安打と滅多打ちにあった。
そこでGame4はナック併用のブルペンデーにしてはどうか。即ち、試合の9回をオープナー、ピギーバック(3,4回食う人)、普通のリリーフとつなぐ。例えばオープナーでグラテロルを起用し、2回からナックを投入。厳しくなったところで本職リリーフを次々と投入していくという具合だ。
ドジャースは今季、投手に追加での休養日を与えるために多くこの戦略をとっており、ノウハウは蓄積されている。先の見えない通常の先発よりも、2,3回しか行かないよと示すことで、ナックも最初から出力を上げて投げられるはずだ。
不安点があるとすれば前3試合でブルペンを消耗した場合、ナックを引き延ばさなければならなくなり、失点の確率が上がってしまうというところだ。
見えてきたプレーオフロースター
これらを踏まえるとドジャースのプレーオフロースターの全体像が見えてくる。新たな故障や逆に復帰などで若干の変更はあるかもしれないが、大体このようになるだろう。
先発投手
RHP 山本由伸
RHP ジャック・フラハティ―
RHP ウォーカー・ビューラー
RHP ランドン・ナック
リリーフ投手
RHP マイケル・コペック
RHP エヴァン・フィリップス
RHP ブレイク・トライネン
LHP アレックス・ベシア
RHP ダニエル・ハドソン
RHP ブルスダー・グラテロル
RHP ライアン・ブレイジャー
RHP ジョー・ケリー
RHP マイケル・グローブ
外野手
RF ムーキー・ベッツ
CF ケビン・キアマイアー
LF/RF テオスカー・ヘルナンデス
OF アンディ・パヘス
内野手
1B フレディ・フリーマン
3B マックス・マンシー
SS ミゲル・ロハス
2B ギャビン・ラックス
捕手
ウィル・スミス
ハンター・フェドゥーシャ
ユーティリティー
キケ・ヘルナンデス
トミー・エドマン
指名打者
大谷翔平
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【了】