ビジョンメガネは9月26日、「老眼」に関するイメージ調査の結果を発表した。調査は40~60代の男女106人を対象に行われた。併せて、1級眼鏡作製技能士による老眼対策やセルフチェック方法についても紹介している。
40代の約7割が「老眼鏡をかけることに抵抗」
今回の調査により、40代の約7割が「老眼鏡をかけることに抵抗がある」ことが分かった。目の負担が軽減できることは意識している一方、「老人のものという印象」(40.5%)、「おしゃれなものが少ない」(37.8%)といった、ネガティブな印象があがっている。また、男女別でみると、男性の方が「できれば気づかれたくない」(20.75%)と感じている傾向が高いこともわかった。
目の老化現象「老眼」とは?
「老眼=老視」は、年齢とともに近くのものが見えづらくなる目の状態のことを言う。目にはレンズの役割をする水晶体があり、その周辺にある毛様体筋と呼ばれる筋肉(調節力)が緩んだり、引き締まって縮んだりすることによって、水晶体の厚みを変えピントを調節する。老眼は、加齢とともに水晶体の弾力と毛様体筋の働きが低下することで、十分に水晶体の厚さを変えることができなくなり、近くのものが見えにくくなったり、近くから遠くへのピント合わせに時間がかかったりする“目の老化現象”。平均的に、45歳前後から自覚症状が出てくることが多いとされている。
国家検定資格1級「眼鏡作製技能士」の小倉正道氏は、「老眼は、加齢に伴う自然な現象のため、完全に予防することはできないと言われています。まだ見えるから、自分はまだ若いからと、見えにくい状態を続けていると、目に負担がかかり、疲れを感じやすくなるほか、肩こりや頭痛の原因にもなります」と話す。
小倉氏によると、スマホを持つ手を顔から離し、眉間にシワを寄せながら画面を見たり、手元を見る時に眼鏡をおでこに上げる仕草は、かえって老けて見える原因にもなるという。手元が見えにくくなったなと感じたら、我慢せずに老眼鏡や遠近両用眼鏡を利用するよう、小倉氏は勧めている。
老眼はいつから始まる?
ヒトの目の機能は、10歳を過ぎたあたりから少しずつ低下していくので、小学生からすでに老眼へのカウントダウンは始まっているという。老眼の症状の1つとして、目の「近点距離の変化」が挙げられる。近点距離とは、近視や乱視などの「屈折異常」がない状態(眼鏡やコンタクトレンズで矯正した状態)でピントを合わせることができる、目から最も近い位置のこと。
個人差はあるが、近点距離は30歳では目から14センチ前後、40歳では22センチ前後とされている。老眼になると、近点距離が目から遠ざかっていくので、45歳前後から「近くの物が見えにくくなった」「スマホの画面を遠くに離すと見やすくなる」といった自覚症状が出始める。最近は、スマートフォンやPC作業が増え、手元の距離を見る時間が多くなったこともあり、30代前半から遠近両用レンズを使い始める人もいるという。
以前より物が見えにくくなっただけであれば、放っておいても良い?
老眼の症状が出ると、細かい文字や数字がパッと読めなくなるため、読み間違いや見間違いが発生したり、ピントが合わないことにストレスを感じるようになる。また目の老化は、動体視力や距離を把握する深視力など、様々な視覚機能に支障をきたすため、交通事故や交通違反の発生リスクを高める可能性も考えられる。加えて、目はどうにかピントを合わせようと頑張るので、筋肉にかなり負担がかかる。その状態が長く続くと、頭痛や肩こり、吐き気などの症状が現れ、日常生活に支障をきたす恐れもあるため、早めに対処する必要がある。
自宅で簡単に出来る"老眼のセルフチェック方法"
老眼かを正確に知るためには視力測定が必要だが、指先を使って簡単にチェックする方法もある。人差し指の腹の方を顔のすぐ近くに置き、そこから指をどんどん遠ざけていく。指紋がくっきりと見えるところ(ピントが合うところ)で動きを止め、目からの距離を測ると、自分の「近点距離」を知ることができる。近点距離が30センチ以上で、小さい文字を読む際に文字がぼやけたり、夕方や照明が暗いと物が見えにくくなる、スマホの文字を打ち間違えることが日常的に起こる場合、老眼が進行している可能性が高いという。
老眼対策用眼鏡には、どんな種類がある?
何をどう見たいかで、選ぶべき眼鏡が変わる。老眼鏡は手元にピントが合うように設計してあるので、手元の視界はクリアだが、遠くはぼやけて見えるため、近くを見る時以外は眼鏡を外す必要がある。一方で、1枚のレンズに異なる度数を入れた累進レンズを使えば、眼鏡をかけ替えることなく、視線の動きで様々な距離を見ることができる。
累進レンズには、遠くの距離から近くの距離までピントを合わせることができ、主に遠くの見えやすさと視野を広くする「遠近両用レンズ」、50~70cmに素早く楽にピントが合い、中間距離の視野の広さを重視した「中近両用レンズ」、手元から身の回りといった近くを重視した「近々両用レンズ」の3種類がある。ひと昔前は、度の切り替え位置が見て分かるものもあったが、最近はレンズ性能が進化しているので、見た目には普通の眼鏡と変わらないという。見る距離によって眼鏡をかけ替える必要がないので、老眼だと気付かれたくない人に向いているそう。
また、遠近両用のコンタクトもあるので、コンタクト派であればそちらも検討できる。コンタクトレンズで対策したい場合は、まずは眼科を受診して目の状態を詳しく検査し、発行してもらったコンタクトレンズ指示書を眼鏡店やコンタクトレンズ店へ持参し、購入することができる。
老眼対策用眼鏡は、いつから使い始めたら良い?
累進レンズは、40歳になったあたりから使用することが推奨される。老眼の症状が進んだ60代以降に初めて使用する場合、累進レンズ特有の視点の動かし方に慣れず諦めてしまう人が多くいるが、調節力がまだある40代から使い始めれば、比較的慣れやすく、スムーズにかけ続けることができるという。視力の状態によっては、累進レンズではなく、老眼鏡の使用で十分な場合もある。また、60歳を過ぎると遠近両用レンズ1本だけでは対策が難しくなり、中近レンズや、近々レンズとの併用が必要になることも。取扱いレンズの種類やグレードは眼鏡店によって異なるため、相談し、自分に合った対策を見つけることができる。