メディウェルは9月19日、「医師の節税」に関するアンケート調査の結果を発表した。調査は2024年6月20日~6月28日、全国の医師1,913名を対象にインターネットで行われた。
「所得税が高すぎて苦しい」高額納税の負担を訴える医師が多数
医師の年収の中央値(2024年時点、副業含む)は1,700万円と、一般に比べて高所得な職業だといえる。所得が多いほど納税額が大きくなる上、年収制限により各種助成制度を利用できないケースも多く、「所得税が高すぎて苦しいです」(40代女性/リハビリテーション)、「沢山働いても税金でとられてしまう」(50代女性/皮膚科)、「インセンティブもなく年俸契約で昇給もなく年々税負担と物価高で厳しくなってるのではないでしょうか」(50代男性/精神科)、「重い税金がとられるにも関わらず各種手当はもらえない」(30代男性/精神科)など、年収が高くても手取りが増えず生活は苦しいという声が多数寄せられている。
医師の多くが取り組んでいる節税対策
医師に人気の節税対策を調査したところ、医師の8割超が「ふるさと納税」を実施していると回答。
ふるさと納税は納税者の所得額に応じて、控除額の上限が設けられている。アンケート結果から算出したモデルケースで、もっとも手出し少なく控除を活用した場合、年間約38万8,000円の節税になる。
「iDeCo(個人型確定拠出年金)」を実施している医師は49.6%だった。さらに2割強の医師が「実施していないが興味はある」と回答している。
モデルケースにおいて30年間実施した場合、掛金部分について約356万円の節税効果が得られる。
「NISA」は6割超の医師が実施しており、2割弱が「実施していないが興味はある」と回答している。
以下のケースで実施した場合、約347万円の節税効果を得ることができる。
医師があまり取り組んでいなかった節税対策
「特定支出控除の利用」「プライベートカンパニーの設立」「不動産投資」は医師の間に浸透していないことがうかがえる結果となった。
特定支出控除の利用については、「よくわからない」と答えた医師が4割だった。活用のハードルは高いが、医局人事による転居や学会参加費などがかさんだ場合は有用な制度といえる。
「プライベートカンパニーの設立」については、45.9%の医師が「実施しておらず興味もない」と回答している。また、「実施している」「実施していないが興味はある」と答えた医師は計26.3%で、「よくわからない」と答えた27.7%を下回っており、知名度がそこまで高くないことがうかがえる。
「不動産投資」については、「実施しておらず興味もない」という医師が55.9%で最多となっている。アンケートでは「不動産投資の勧誘がしつこい」などの声があがっており、不動産投資を勧める業者からの営業に辟易している様子がうかがえる。
医師の節税への受け止め
医師は節税をどのように受け止めているのか、フリー回答で意見を求めたところ、「いかに税金を安くするかにかかっていると思う。稼いでも税金で取られると思ったら労力と時間の無駄」(50代女性/眼科)、「学会参加、年会費などが勤務医でも税控除できてほしい」(40代男性/小児外科)、「勤務医は節税に限界がある」(50代男性/泌尿器科)、「節税についてどこに問い合わせればいいのかわからない」(60代男性/一般内科)、「現職が忙しくて過労死しそう。投資に割ける時間はなくじっと手を見る」(30代男性/呼吸器内科)などの声が寄せられた。