日本テレビ系ドキュメンタリー番組『NNNドキュメント’24』(毎週日曜24:55~)では、消えゆく戦争証言の尊さを考える『この鉄砲がゴボウであったらなぁ~兵士の証言を残すために~』(日本海テレビ制作)を、きょう15日に放送する。

  • 『この鉄砲がゴボウであったらなぁ~兵士の証言を残すために~』

100歳近い元兵士たちがきのうのことのように語る戦場での記憶、1,000人を超える元兵士一人ひとりの体験を収録した本、残された家族へ向けて戦場から送られ続けた90通もの手紙――これらの証言には、戦争の最前線に立たされた人だけが知る悲惨さや愚かさが詰まっている。しかし、年々少なくなっているその声。戦後79年を迎えた今、消えゆく証言の尊さを考えていく。

元兵士から話を聞く活動を行っている千葉県出身の東大院生・相原利彦さんの専攻は経済学だが、小さい頃から日本史に高い関心があった。戦争体験者が急激に減少していることに強い危機感を抱き、2021年から自費で活動している。ネットや新聞記事から元兵士を見つけ出すと直筆の手紙でアプローチ。直接話を聞くとともに、生の声をスマートフォンで録音している。

ソ連との武力衝突・ノモンハン事件で重傷を負った107歳の元陸軍兵、特攻で散った友人を思い続ける95歳の元航空兵…元兵士たちは力を振り絞り、若者に思いを託す。これまで聞き取りを行った相手は17人。今後も証言を集め、何らかの形でまとめていきたいと考えている。

今から44年前の1980年、島根県で出版された『戦士の記録』。元新聞記者だった白神尚彦さんとその妻・敏子さんが書いた本だ。島根・雲南市に住んでいた白神夫妻は市内を中心に訪ね歩き、戦争体験者やその遺族への聞き取りを行った。“戦争体験者は当時の経験を自分では書かない。若くして筆にすると夜な夜な悪夢を見るから”そう語る白神夫妻は、1000人以上の元日本兵の体験を『戦士の記録』に収録。そのうちの一人で、戦場で21歳の若さで亡くなった男性の遺族は、今も形見のように大切に保管していた。

世界各地で戦争が続く一方で、近づく戦争体験者ゼロの時代。体験者だけが知る戦争の愚かさや悲惨さ。その声を残していくことの大切さを伝えていく。