第45回将棋日本シリーズJTプロ公式戦は1回戦が大詰め。7月27日(土)には羽生善治九段―佐々木大地七段の一戦が静岡県静岡市の「ツインメッセ静岡」で行われました。対局の結果、角換わり腰掛け銀対右玉の持久戦から抜け出した佐々木七段が131手で勝利。35回出場のレジェンドを制して藤井聡太JT杯覇者の待つ準々決勝へコマを進めました。

初出場の大舞台

賞金ランキング上位などの条件から12名が選出される本棋戦、35回目の登場となる羽生九段に対して佐々木七段は初出場と好対照です。先手となった佐々木七段は得意の角換わり腰掛け銀を志向、対する羽生九段は右玉に構えて先手の攻めを受け流す方針を取りました。

十分な駒組みを得た佐々木七段は仕掛けに打って出ます。6二の地点に居座る後手玉めがけて自陣角で狙いをつけたのが遠見の角の好手。続いて跳ね出した右桂との協力で後手陣に大きなゆさぶりをかけることに成功しました。実戦はここから佐々木七段の独擅場に。

堂々攻め切り右玉攻略

反撃を試みる羽生九段に対して佐々木七段は冷静な受けでリードを拡大します。自陣に作られた馬にも動じずじっと飛車を浮いたのが充実の好手。戦いのなかで自然と金冠の好形を整えて反撃に専念できる形を作りました。飛車を切って馬を手にしたのが反撃の狼煙です。

優勢を築いた佐々木七段の攻めは正確でした。終局時刻は17時57分(16時35分対局開始)、最後は詰みを認めた羽生九段が投了。一局を振り返ると遠見の角の好手をきっかけに仕掛けを得た佐々木七段が堅陣を生かして堂々と攻め切った快勝譜となりました。

これでベスト8進出を決めた佐々木七段は9月21日(土)に行われる準々決勝で藤井聡太JT杯覇者と顔を合わせます。

水留啓(将棋情報局)

  • 佐々木七段は「自分の力を精一杯出しきりいい将棋をお見せできるよう頑張りたい」と次戦への意気込みを語った(写真は第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第2局のもの 提供:日本将棋連盟)

    佐々木七段は「自分の力を精一杯出しきりいい将棋をお見せできるよう頑張りたい」と次戦への意気込みを語った(写真は第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第2局のもの 提供:日本将棋連盟)