すでに猛暑日が続いており、今年の夏も大活躍しそうな「エアコン」。もはや私たちの生活に欠かせない家電ですが、10年以上使い続けると、性能が低下したり故障したりするリスクが高まります。また、古いエアコンは新しいモデルと比べて電気代が高くつくことがあります。

では、エアコンを買い替えると電気代はどれだけ安くなるのでしょうか? 今回は、10年以上前のエアコンと最新エアコンの電気代を比較してご紹介します。

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■エアコンの電気代、1時間あたりの目安は?

夏の暑い時期には欠かせないエアコンですが、エアコンを使う時間が長いと電気代が心配です。そもそもエアコンを使うと、電気代はどのくらいかかっているのでしょうか。

多くの電化製品は「消費電力」から電気代を計算できますが、エアコンは稼働中に消費電力が大きく変動するという特性上、消費電力から単純に計算することは困難です。また、使用する部屋の大きさやエアコンの種類、設定温度、使用時間などによっても電気代は変わります。

ただし、大まかな電気代の目安を計算することは可能です。ここでは、電気代を計算するための計算式を用いて、一般的なエアコンの電気代を計算してみます。

エアコンの1時間あたりの電気代は、「消費電力(kWh)×1kWhあたりの電気料金単価(円/kWh)」で求められます。このうち「消費電力」は、電化製品が動く時に必要になるエネルギー量のことで、「W(ワット)」という単位で表記されています。エアコンの説明書やカタログなどに記載がありますので、見てみましょう。

また、「電気料金単価」は契約している電力会社やプランによって異なりますので、検針票などで確認しましょう。ここでは、全国家庭電気製品公正取引協議会の提示する電気料金の目安単価である1kWあたり31円/kWh(2022年7月改訂)で計算してみます。

たとえば、14畳用のエアコンで消費電力が70〜1,350W(冷房)のケースはどうでしょうか。70Wは0.07kW、1,350Wは1.35kWに変換して計算すると、それぞれ以下のようになります。

0.07kWh×31円/kWh=2.17円
1.35kWh×31円/kWh=41.85円

このエアコンの場合、1時間冷房を使用した時の電気代は、2.17〜41.85円ということになります。

なお、経済産業省資源エネルギー庁の「省エネ性能カタログ2023年版」によると、6〜18畳用のエアコン(冷房)の消費電力(冷房期間消費電力※)と1時間あたりの電気代、冷房期間消費電力から算出した1ヶ月の電気代は以下のようになっています。

6畳 502W(204kWh) 約15.6円 約1,416円
8畳 584W(228kWh) 約18.1円 約1,582円
10畳 652W(254kWh) 約20.2円 約1,763円
12畳 1,045W(362kWh) 約32.4円 約2,512円
18畳 1,869W(586kWh) 約57.9円 約4,067円

エアコンを選ぶ際は、部屋の広さに適した冷暖房機能を持つ製品を選ぶことが大切です。それにより、節電ができるだけでなく、快適な室温を保つことができます。

※1ヶ月を30日、1日の使用時間を18時間とした場合に、冷房期間5月23日〜10月4日(134日)における消費電力量

■10年以上前のエアコンと最新のエアコン、電気代はどのくらい違う?

最新のエアコンは、省エネ基準を満たしていたり、それを上回る性能を持っていたりします。そのため、古いモデルに比べて電気代を低く抑えることができます。では、10年以上前のエアコンと最新のエアコンでは電気代にどのくらいの差が生じるのでしょうか。

ここでは、三菱電機から2011年に発売された「霧ヶ峰 MSZ-ZXV562S」と、2024年に発売された「霧ヶ峰 MSZ-FZ5624S」(いずれも18畳用)を比較してみます。

まず、2011年発売のモデルの場合、消費電力は110〜2,190Wで1時間あたりの電気代(冷房)は3.41〜67.89円、24時間使い続けた場合の電気代は81.84〜1,629円です。また、年間の電気代の目安は6万3,240円です。

一方、最新モデルの場合、消費電力は80〜2,020Wで1時間あたりの電気代(冷房)は2.48〜62.62円、24時間使い続けた場合の電気代は59.52〜1,502円です。また、年間の電気代の目安は4万9,755円です。

10年以上前のエアコンと最新のエアコンでは、電気代に年間1万3,485円もの差が生じています。特に最近はエアコンを使う頻度が増えていますので、買い替え費用を差し引いても、新しいエアコンにしたほうがトータルの費用がお得になるケースが多いようです。

■エアコンの買い替え時はいつ?

最新モデルのエアコンと10年以上前のエアコンを比較すると、最新のエアコンは年間1万3,000円以上も電気代が安くなることがわかりました。

また、エアコンは10年を超えて使用すると性能が低下し、故障のリスクが高まります。それに、補修部品の保有期間が終了すると修理が困難になる場合もあります。これらの理由から、エアコンは10年を目安に買い替えを検討するといいでしょう。

実際、エアコンには「標準使用期間」が定められており、多くのエアコンメーカーではその期間を10年としています。標準使用期間とは、標準的な使用条件に基づく経年劣化に対し、安全上支障なく使用できるとして設定された期間のことです。

なお、総務省統計局の「令和6年3月消費動向調査 主要耐久消費財の買替え状況の推移 二人以上世帯」によると、ルームエアコンの平均使用年数は14.1年です。また、そのうち70.8%の人が故障を理由にエアコンを買い替えています。

エアコンは一般的に安い買い物ではないため、買い替えには悩みますが、使用年数が10年を超えると故障のリスクが高まり、いずれ買い替えが必要になることもあります。新しいエアコンは長期的に見れば経済的ですので、10年以上使用している場合は買い替えを検討する時期かもしれません。

■古いエアコンは買い替えを考えよう

エアコンを新しく買い替えると、使用感が快適になるだけでなく、電気代を節約することもできます。最新のエアコンは省エネ性能が向上しているため、長い目で見ると経済的なのです。買い替えの際は、エアコンの性能や機能、電気代などを比較して、最適なモデルを選びましょう。