「マイナビ2025年卒 企業新卒採用活動調査」によると、2025年卒向けインターンシップ実施率が調査開始以来の最高(61.3%)となったようです。人手不足、採用難が続くなかインターンシップを通じて認知度の向上につなげようとする企業側の苦労がうかがえる結果ではないでしょうか。

同調査では、職種別採用や勤務地確約採用の導入、給与の見直しなど、志望企業の選択に影響を及ぼしそうな項目についても報告しています。今回は、学生にとって朗報と言えそうな企業側の動きについてレポートします。

職種別・勤務地確約採用が浸透

同調査では、今年、企業がどのような採用手法を実施したのか、そして、実施して良かったと思う採用手法についてヒアリング。実施した採用手法でもっとも多かったのは「WEB 面接の実施」(53.4%)で、実施して良かったと思う採用手法でもトップとなりました。

そして、実施した採用手法の2位に「職種別採用」(37.6%)が入り、実施して良かったと思う採用手法でも2位という結果でした。

また、実施した採用手法の5位に「勤務地確約(限定)採用」(19.7%)が入っており、実施して良かったと思う採用手法でも同じく5位となっているのです。

職務内容や勤務地は、入社前後のギャップが大きければ大きいほど学生はリアリティ・ショックを受けやすいので、職種や勤務地を明確化した採用手法を取り入れる企業が増え、一定の手ごたえが得られている状況は、学生側にとってもプラスの材料ではないでしょうか。

  • 今年の採用活動に実施した採用手法/実施した良かったと思う採用手法(上位抜粋・複数回答) 出典:マイナビ2025年卒企業新卒採用活動調査より

初任給の引き上げを実施した企業が前年より増加

初任給の引き上げも、学生にとっては明るい材料です。日本政府は今、賃上げ、所得増を強力に推し進めていますが、新入社員の初任給の引き上げにも波及効果があるようです

同調査で初任給の引き上げについて聞いたところ、2025年卒の学部生の総合職採用について初任給の引き上げを行った企業は84.4%で、前年からから14.4ポイント増加しました。

上場企業と非上場企業に分けても、ともに8割を超える企業が初任給の増額を行っています。

また、引き上げ額でもっとも多かったのは、「1~2万円未満」(35.9%)で、この数値は前年の約2倍となっています。

  • 初任給を引き上げたか(学卒生・総合職) 出典:マイナビ2025年卒企業新卒採用活動調査より

  • 初任給の引き上げ額 出典:マイナビ2025年卒企業新卒採用活動調査より

12.3%の企業が学生のAI利用を実感、就活でのAI活用に6割が好意的

企業が就活におけるAI(人工知能)の活用を好意的にとらえていることも、学生にとってはポジティブに受け取れる要素ではないでしょうか。

同調査では、学生がAIを活用して就職活動している実感はあるかを聞いていますが、実感がある企業は前年の約3倍(12.3%)となりました。

一方で、学生側の調査(「2025年卒大学生活動実態調査」)では、就職活動で生成AIの利用経験がある学生は37.2%で、学生の利用経験と企業側の利用実感には大きな差があるようです。

  • 学生がAIを活用して就職活動している実感はあるか 出典:マイナビ2025年卒企業新卒採用活動調査より

  • 生成AI(「ChatGPT」等)の利用経験 出典:マイナビ2025年卒企業新卒採用活動調査より

さらに、就職活動における学生の生成AIの活用についての企業側の考えも尋ねています。

「積極的に活用してほしい」(5.0%)、「使い方を慎重に検討したうえで活用してほしいと思う」(52.7%)ともに前年より増加しており、この2つを合わせると約6割の企業が就職活動における学生の生成AIの利用について好意的にとらえていることがわかります。

  • 学生が就職活動において生成系AIを活用することに対しての考え 出典:マイナビ2025年卒企業新卒採用活動調査より

大学生の間では、レポート作成などで生成AIを活用することが特別なことではない状況になりつつあるようです。

就活においても活用が進むことは自然の流れとはいえ、企業側からは「利用しても良いが、そのままアウトプットを使うのはNG」、「きちんとした回答、皆が一目置く回答になっていれば推奨。他の人と同じような回答なら、むしろマイナス評価になると思う」といったコメントも寄せられています。

生成AIは、メリットとデメリットを理解したうえでの有効活用が求められているようです。