ヒューリック杯第4期女流順位戦はA~C級の全日程が終了。7月8日(月)にはD級最終8回戦の一斉対局が東西の将棋会館で行われました。このうち関西将棋会館で行われた久保翔子女流2級―砂原奏女流2級の上位対決は160手で久保女流2級が勝利。他局の結果により、久保女流2級はC級昇級および女流1級昇級を果たしました。

昇級候補の直接対決

久保女流2級は大阪府出身の18歳。振り飛車党で、四間飛車からの丁寧な受けを得意とします。対する砂原女流2級は千葉県出身の17歳。こちらも振り飛車党ですが主戦場は三間飛車。中盤の安定感のある指し回しに定評があります。両者の戦績は砂原女流2級の1勝0敗、女流順位戦では初顔合わせとなります。

今期のD級は36名が5つの昇級枠を争うもの。6勝1敗の砂原女流2級は、本局で勝利すれば自力昇級の権利があります(久保女流2級は5勝2敗)。盤上は先手・砂原女流2級の向かい飛車に後手の久保女流2級も向かい飛車で応じるクラシカルな相振り飛車に進みました。

2人抜きで昇級勝ち取る

右矢倉の堅陣に組み上げた久保女流2級は軽快な仕掛けでペースをつかみます。5筋で銀交換して先手の高美濃囲いを乱したのが大きな利かし。立て続けに打ち込んだ角を自陣に引き成って盤面制圧に成功しました。久保女流2級はその後も厳しい銀桂両取りで差を広げます。

先攻を許した砂原女流2級もなんとか食いついて攻め合いの形を作りますが、攻めが一段落したところで久保女流2級の放った銀打ちが敵玉を縛る寄せの好手。後手は直前に銀を犠牲にしているものの、馬筋を生かしたクサビの歩が入って攻めが切れなくなりました。

終局時刻は15時10分(持ち時間各2時間)、最後は詰みを認めた砂原女流2級の投了で久保女流2級の勝利が決定。昇級候補同士の大一番を制した久保女流2級は、他局の結果もあって順位が7番手から5番手へと2人抜き。C級昇級および女流1級昇級を決めています。 久保女流2級のほか佐々木海法女流初段、高浜愛子女流初段、長谷川優貴女流二段、長沢千和子女流四段もC級昇級を決めました。

水留啓(将棋情報局)

  • 久保女流2級は順位戦クラスと級位のW昇級を果たした(写真は第18期マイナビ女子オープン予備予選のもの)

    久保女流2級は順位戦クラスと級位のW昇級を果たした(写真は第18期マイナビ女子オープン予備予選のもの)