6、7月になると、夏のボーナスが支給される人も多いでしょう。民間企業の場合、ボーナス支給日にはばらつきがありますが、公務員の場合、夏ボーナスの支給日は6月30日と決まっています(今年は日曜日に当たるため、28日(金)に支給)。今年の公務員の夏ボーナスは、いくら支給されるのでしょうか。国家公務員の夏ボーナスの推移とともにご紹介します。

  • 2024年夏の公務員のボーナスはいくら?

■2024年夏のボーナス、公務員の平均支給額は

三菱UFJリサーチ&コンサルティングが発表した「2024年夏のボーナス見通し」によると、国家公務員(管理職および非常勤を除く一般行政職)のボーナス(期末・勤勉手当)の平均支給額は前年比3.5%増の65万9,500円となり、2年連続で増加する見通しです。

その要因としては、昨冬と同様にボーナスの基準となる基本給が増加することに加え、ボーナス支給月数が昨夏から0.05ヶ月分(勤勉手当、期末手当がそれぞれ0.025ヶ月分)増えることが挙げられます。

コロナ禍からの日本経済の回復が、民間に遅れて公務員のボーナスにも反映されていますが、2024年夏のボーナスはまだ、コロナ前の2019年の水準には達しないものとみられます。しかし、今後も民間の賃金上昇傾向が続くことで、公務員のボーナスも高めの伸びを維持する見込みです。

では、地方公務員も含めた夏ボーナスは、どのくらいになるのでしょうか。みずほリサーチ&テクノロジーズが発表した「2024年夏季ボーナス予測」によると、公務員(国+地方)の一人当たりボーナス支給額は前年比3.7%増の74万5,792円となり、こちらも2年連続の増加と予測されています。

地方公務員のボーナスは、国家公務員の支給実態に合わせるところがほとんどです。国家公務員の基本給の増加やボーナス支給月数の引き上げが影響し、地方公務員のボーナスも増加することが想定されます。

■国家公務員の夏ボーナスの推移

前年比3.5%増が見込まれる国家公務員の夏ボーナス。では、公務員の夏ボーナスは近年、どのように推移しているのでしょうか。

公務員の夏ボーナスについて、今年2024年の予想額と、2016年〜2023年の平均支給額をまとめてみました(全て国家公務員、管理職および非常勤を除く一般行政職)。

  • 2024年の予想額と、2016年〜2023年の平均支給額

2024年 65万9,500円 前年比3.5%増
2023年 63万7,300円 前年比9.0%増
2022年 58万4,800円 前年比11.5%減
2021年 66万1,100円 前年比2.8%減
2020年 68万100円 前年比0.1%増
2019年 67万9,100円 前年比3.9%増
2018年 65万2,600円 前年比2.1%増
2017年 64万2,100円 前年比1.6%増
2016年 63万100円 前年比1.6%増

国家公務員の夏ボーナスは2016年から順調に増加を続けていましたが、2021年に減少に転じ、2022年には11.5%減と大幅な減少を記録しました。しかし、2023年には9.0%増と大きく回復し、2024年も3.5%増が予測されています。まだコロナ前の水準には達していないものの、このまま順調に増加が続けば、2019年夏の水準まで回復することが期待されます。

■2023年8月の「人事院勧告」の内容

民間企業では、会社の業績や個人の成果などによってボーナス額が決まります。では、公務員の場合、ボーナスはどのように決定するのでしょうか。国家公務員のボーナス額は、内閣官房内閣人事局が「人事院勧告」として給与の方針を示し、それをもとに法律として定められます。

その際、公務員のボーナスは民間企業の支給実績と比較し、民間準拠で決められます。公務員には、ストライキなどを実行する「争議権」が認められていませんが、その代わりに給与やボーナスを民間と比べてその水準に合わせているのです。

具体的には、以下の3点を比較し、民間の基準に合わせるよう、国家公務員の給与水準を改定、俸給制度・諸手当制度の見直しを行います。

・国家公務員の4ヶ月分の給与
・民間企業(企業規模50人以上などの条件あり)の4ヶ月分の給与
・民間企業の前年8月からその年の7月までに支給されたボーナス額

そのうえで、国家公務員の給与を民間に合わせるよう勧告するのが「人事院勧告」です。この人事院勧告の結果をもとに給与法が改正され、国家公務員の給与やボーナスが決まるという流れです。

今年の夏ボーナスの支給額に影響する人事院勧告は、2023年8月に発表されました。それによると、民間給与平均は40万7,884円、それに対して国家公務員給与は40万4,015円と、国家公務員のほうが3,869円(0.96%)安い結果となりました。

また、ボーナスの支給月数は、民間が4.49ヶ月分、国家公務員が4.40ヶ月分と、国家公務員のほうが0.09ヶ月分少ない結果となりました。

これらを受け、人事院勧告では以下のような改定が求められました。

・民間給与との較差(3,869円)を解消するため、初任給および若年層の俸給月額を引き上げる
・ボーナス(期末・勤勉手当)の支給月数を年間4.40ヶ月分から4.50ヶ月分に引き上げる(0.10ヶ月分増)

2024年夏の公務員のボーナスには、これらの改定結果が反映されています。

■今後もボーナスの増加傾向は続きそう

2024年夏の国家公務員のボーナスは、前年比3.5%増の65万9,500円と、昨夏に続いて大きめの増加が見込まれます。また、民間の賃金上昇にともない、公務員のボーナスも引き続き増加することが予想されます。民間と公務員のボーナスが順調に上昇し続け、消費の活性化につながることを期待したいですね。