
メジャーリーグ 最新情報
今シーズンのメジャーリーグは
初回登録は2週間無料トライアル実施中![PR]
現地時間6月7~9日、2016年以来8年ぶりにヤンキー・スタジアムでロサンゼルス・ドジャース対ニューヨーク・ヤンキース戦が開催された。この対決はワールドシリーズ前哨戦と呼ばれるなど、戦前から盛り上がりをみせた。今回はアーロン・ジャッジ選手との比較を交えながら、大谷翔平選手にとってのこの3連戦の意義を振り返っていきたい。
大谷翔平とヤンキースの“縁“
大谷翔平選手にとってキャリアで6度目のヤンキー・スタジアム遠征となったが、今回は過去とは異なり、常時優勝を争うチームの主力選手としてこの遠征に臨んだ。
メディアやファンからは、今季MLB最多の24本塁打(6月9日終了時点)を打つニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ選手と並ぶマッチアップの顔として目され、試合ではスター選手の証である敵地ファンからのブーイングを最も大きく受けていた。
大谷選手とヤンキース、ジャッジ選手にはいくつか縁となる出来事がある。大谷選手が北海道日本ハムファイターズからポスティングでのMLB入りを目指したのが、ジャッジ選手が新人王を獲得した2017年のオフである。
キャッシュマンGMが当時獲得を熱望したヤンキースは、事前面談の対象にも選ばれなかった。その大谷選手がロサンゼルス・エンゼルスで新人王を獲ったのは翌2018年である。2022年には、ジャッジ選手とアメリカンリーグのMVPを争った。
この対戦を前に様々な展望記事が出ていた。直前まで8連勝していたヤンキースに対し「スター揃いのドジャースとの対戦は大きなテストである」とするニューヨーク・ポスト紙の記事(※1)、「この週末絶対に見るべき試合」として両チームの1番~3番のOPSの比較や過去のデータを取り上げたMLB公式ホームページの記事(※2)などがある。
市場のチケット価格も高騰し、私が見た限り、現地チケットサイト上では、一番安い立見席ですら9,000円台になる試合もあった。
(※1)ニューヨーク・ポスト電子版 “Yankees to face huge test against star-studded Dodgers“(米東部時間2024.6.6)
(※2)MLB公式HP “Dodgers-Yankees battle of titans an absolute must-watch all weekend long“(日本時間2024.6.8)
この対決は、2チームの対戦の枠を超えて「大谷対ジャッジ」の雰囲気も醸し出していた。これを象徴するのが、大谷選手とジャッジ選手を一番の目玉としてデザインされた限定グッズである。「OHTANI 17」と「JUDGE 99」を同時に入れ込んだ帽子、2人をそろえたボブルヘッド人形、2人を入れ込んだピンバッジ…そのグッズは数多い。
(出典:MLB公式Xサイト)
(出典:Dodgers Nation公式Xサイト)
“大谷対ジャッジ“スーパースター対決の行方は…
注目を集めたこの3連戦はドジャースが2勝1敗と勝ち越して終えた。ドジャースでは、初戦に先発し7回を2安打無失点に抑えた山本由伸投手の好投、2戦目のグランドスラムを含む3本塁打を打ち9打点を挙げたテオスカー・ヘルナンデス選手の活躍が光った。
一方、ヤンキースはフアン・ソト選手を故障で欠いたのが響き、打線に精彩を欠いた。その中で孤軍奮闘していたのがジャッジ選手だった。以降は、大谷選手とジャッジ選手に焦点を当てたい。
ドジャースのウィル・スミス選手が1アウト3塁の場面でライトフライを打ち上げた後のジャッジ選手の肩と大谷選手の足の対決は、大谷選手の足が上回った。
2人のこの3連戦の成績は以下のようになった。
【大谷】
13打数2安打0本塁打 1打点 打率.154 OPS.445
【ジャッジ】
11打数7安打3本塁打 5打点 打率.636 OPS2.351
大谷選手にとっては、チームは勝って個人は負けたという形になった。本人にとっては、まずチームが勝ち越せてよかったという気持ちが先立つだろう一方で、日本人の大谷選手のファンにとっては、ちょっと複雑な結果に受け取った人が多かったかもしれない。
今後の課題は“鬼門“ヤンキー・スタジアムの陥落?
ヤンキー・スタジアムでの大谷選手の通算成績は打者、投手別に以下のようになり、今年も相性の悪さを変えられなかった。
打者:59打数8安打4本塁打8打点 打率.136 OPS.612
投手:2先発 0勝1敗 投球回数3回2/3 防御率27.00
ただし、この数字が課題として残ったこと、今回の対戦でジャッジ選手という壁や目標ができたことは、大谷選手本人のキャリアや今後の成長につながるだろう。
実際、米メディア『ESPN』のインタビューで大谷選手は、どんな状況でも変わらないジャッジ選手の打撃のスタンスを評価していた。ヤンキース対ドジャース戦はドジャー・スタジアムで来年に、ヤンキー・スタジアムで再来年に開催の見込みだ。
昨季手術した右ひじ靭帯の回復が順調なら、投手としても復帰しているこの時、大谷選手が投打でどうリベンジするのか、投手としてのジャッジ選手との直接対決があるのか。先のことだが楽しみになってくる。
この対戦で改めて感じたのは、ジャッジ選手と並ぶMLBの「顔」「看板」としての大谷選手の存在感が高まり、両選手のライバル性が見えてきたことだ。この両選手が異なるリーグの名門球団に所属し、対戦は年3試合でお互いのホームでは2年に1度ということも、希少性を高めライバル性を盛り上げるのに一役買うだろう。
「大谷とジャッジ」この両選手は、ドジャースとヤンキースをリーダーとして引っ張っていく存在だ。2人がチームリーダーとしてMLBだけでなく世界のスポーツ界を盛り上げていき、スポーツを行う少年たちの目標になり、次世代の大谷やジャッジが育っていく…こうした未来すら感じさせる3連戦でもあった。
まずは、ワールドシリーズでの両チーム、2人の対戦が楽しみになる。この時までに、両チームとも、故障者の復帰や新戦力の台頭、トレードデッドラインでの補強があるだろう。対戦が実現すれば、この6月の対戦とはまた異なった様相を見せるはずだ。
【関連記事】
【了】