キリンホールディングスは、ファンケルの完全子会社化を目的とし、普通株式及び新株予約権を金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含む)による公開買付けにて追加取得することを決定した。

  • ファンケル株式等の公開買付けの概要

■背景

キリンは、長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」において、食領域、医領域に加え、ヘルスサイエンス領域で事業を立ち上げ、お客の健康課題を成長機会に変えることにより、「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」ことを目指している。

発酵・バイオテクノロジーと免疫の研究開発力により、ヘルスサイエンス事業をグループの長期的成長を担う事業に育成するべく強化してきた。

2019年にはファンケル株式の約33%(議決権ベース)を取得するとともに資本業務提携契約を締結。2023年にはアジア・パシフィックで健康食品(ナチュラル・ヘルス)事業を展開する豪州企業Blackmores Limited(代表取締役社長:Alastair Symington、以下Blackmores)を買収し、海外市場における強固な事業基盤を獲得している。

ファンケルは、長期ビジョン「VISION2030」のもと、「美」と「健康」の領域において、世界中のお客の美しく健康で豊かな生活を支え、信頼され愛される企業となることを目指している。

コロナ禍で生じた新たな「不」の解消を図るなど社会環境の変化に対応することでお客との絆を深め、持続的成長に向けた基盤強化を進めてきた。今後は国内の事業基盤をさらに強固にするとともに、国内で生み出したキャッシュを海外事業に積極的に投資し、成長ドライバーに育成することを目指していく。

キリンとファンケルは、健康などの社会課題の解決を通じて自らも成長を目指すという理念や方向性の一致を背景に、2019年の資本業務提携契約締結以降、人財交流を通じ相互理解を深め、コロナ禍などの外部環境変化をともに経験しながら、「素材・商品・ブランド開発」「共同研究・事業開発の推進」「インフラの相互利用」の分野で協働してきた。

■完全子会社化の目的

キリンは、長年の免疫研究、発酵・バイオテクノロジーを駆使した付加価値の高い素材の開発・製造力や、Blackmores買収を通じて獲得したアジア・パシフィックにおける健康食品事業基盤を強みとしている。

ファンケルは、創業から一貫して追求する世の中の「不」の解消に向け、売上の7割を占める直販チャネル(通信販売、直営店舗販売)で培ったお客とのつながりや顧客理解力、お客様の声を研究開発に生かし商品化する技術が強み。

この度、キリンはファンケルを完全子会社とし、経営資源の相互活用や一体的経営の推進により、それぞれが持つ独自の強みを相互補完し、競争優位なビジネスモデルの構築を加速する。発酵という自然な技術で生み出した素材を、お客との強固な関係性から得られる顧客理解力を生かして商品化し、アジア・パシフィックにおいてマルチチャネルでお客に届けることで、化粧品事業・健康食品事業の両分野でよりお客の健康課題解決に貢献し、国内に加えグローバル市場でも存在感をさらに高めることができると考えているという。

今回のキリンによるファンケルの完全子会社化により、国内外の事業基盤や購買データの相互活用の強化、共同研究の深化、環境技術の水平展開など、現在の資本業務提携の枠組みを大きく上回る様々なシナジー効果が期待できるとのこと。

ファンケルは、キリングループのヘルスサイエンス事業の中核事業会社として、強みの源泉である創業理念は変えることなく、ブランドの「ファンケルらしさ」を一層高めていく。ファンケルの企業価値の最大化を目指すとともに、アジア・パシフィック最大級のヘルスサイエンス事業へ成長するべく両社が緊密に連携しながら事業を推進することで、キリングループ全体の成長を実現させ、企業価値の一層の向上に努めていくとのこと。