帝国データバンクは5月28日、「新設法人」調査(2023年)の結果を発表した。それによると、2023年に全国で新設された企業数は15.3万社と、過去最多を記録したという。

  • 新設法人数・休廃業解散件数・倒産件数推移

    新設法人数・休廃業解散件数・倒産件数推移

2023年(1-12月)に全国で新設された企業は2年ぶりに増加し、2024年4月時点で15万2,860社(前年比7.9%増)と、過去最多を記録。新興企業や太陽光発電への投資など特定の事業活動を目的とした企業設立が活発であることや、インボイス(適格請求書)制度に対応するために小規模事業者が法人格を取得したこと、加えて、個人の趣味や特技を生かした起業への心理的なハードルが低下していること、「スタートアップ創出促進保証」など創業支援制度の取り組みが、起業の増加をより後押ししたと考えられる。

法人格別にみると、最多は「株式会社」(66.4%)で10万1,459社。「合同会社」(26.6%)は4万630社で、両者を合わせた数は23年全体の9割を超えた。

なお、同年の休廃業・解散件数は5万9,105社(前年比10.6%増)、企業倒産件数は8,497社(同33.3%増)と、いずれも新設法人の増加率を大幅に上回ったが、新設法人数は企業倒産・休廃業・解散の総数に比べ2.26倍高い水準だった。

  • 新設法人の経営者平均年齢

    新設法人の経営者平均年齢

企業新設時の代表者年齢(起業年齢)については、過去20年で約3歳上昇。2023年は48.4歳と過去最高を記録し、起業年齢の高齢化が進んでいる。その背景には、若年層や女性のほか、現役を引退したシニア層など多様な世代へ起業への門戸が開かれていることが要因の一つと考えられる。

年代別にみると、最多は「40代」で31.9%。ただし、40代が占める割合は2019年をピークに低下傾向で推移しており、一方で、「50代」が25.3%、「60代」が12.2%とシニア層の起業割合が上昇傾向となっている。

  • 都道府県別 新設法人数

    都道府県別 新設法人数

都道府県別(本社所在地、設立当時)にみると、設立数では「東京都」が最多の4万6,598社。次いで「大阪府」(1万5,723社)、「神奈川県」(1万228社)と、大都市部が上位に。

前年からの増加率でみると、「沖縄県」が最多の13.9%増(2,132社→2,428社)。インバウンドが回復した観光産業やIT関連産業を中心に起業が活発だったとみられる。次点は、「秋田県」と「岩手県」(各13.7%増)が続き、ともに前年から減少した22年の反動増といった要因も想定されるものの、両県ともに近年は創業支援に注力する動きも見られ、これまで乏しかった起業機運に変化が生じている可能性が見て取れた。