第50期棋王戦コナミグループ杯(共同通信社と観戦記掲載の21新聞社、日本将棋連盟主催)は予選が大詰め。5月29日(水)には計2局が行われました。このうち東京・将棋会館で行われた第4ブロック決勝の高見泰地七段―小山直希四段戦は90手で高見七段が勝利。得意の角換わり腰掛け銀で抜け出して挑戦者決定トーナメント進出を決めました。
残る枠は7つ
本予選は20名程度からなる山を勝ち抜いた8名が本戦に進むもの。33の本戦枠のうち26名分はすでに確定しています。振り駒が行われた本局は両対局者の息が合って角換わり相腰掛け銀に進展、先手の小山四段はこの戦型特有の玉引きで仕掛けのタイミングを計ります。
自陣角を打って持久戦を目指した小山四段に対し、後手の高見七段は積極的に局面を動かしにいきます。囲いの一部をなす銀を引いたのが柔軟な発想。空いたスペースに遠見の角を据えれば敵玉の急所を直接狙えます。これを見た小山四段は1時間の長考に沈みました。
華麗な決め手で高見七段勝利
かさにかかって攻める後手が桂を跳ねて銀取りとしたとき、駒損を甘受してまで自玉の安全を優先したのが小山四段の失着。銀を手にした高見七段は盤上中央にこの銀を打って先手の角を詰ます手を用意していました。結果的に先手としては銀を逃げて受けに回る方針が優りました。
優位に立った高見七段の指し手は冷静でした。桂の王手で寄せの拠点を築きつつ、タダの地点に馬を差し出したのが華麗な決め手。これを取ると先手玉には腹金の1手詰が待っています。終局時刻は17時6分、この局面が投了図となり高見七段の勝ちが決まりました。
挑戦者決定トーナメント進出を果たした高見七段は初戦で千田翔太八段―横山泰明七段戦の勝者と対戦します。
水留啓(将棋情報局)