林商会は5月27日、老後の働き方や退職年齢に関する調査の結果を発表した。調査は2024年4月24日~4月25日、40代以上の男女300名を対象にインターネットで行われた。

老後は「60代」まで働く人が半数以上 

  • 今後何歳まで働く予定ですか?

「老後は何歳まで働く予定か」聞いたところ、半数以上が「60代」と回答した。「70代」と回答した人も約3割いた。「40代」と「50代」を合わせても1割未満だった。

理想の退職年齢は?「仕事をするなら60代まで」が本音か

  • 前の質問の選択肢について最も当てはまるものを選択してください

「老後は何歳まで働く予定か」の回答においては、「理想通りの退職年齢」が約半数、「理想の退職年齢よりも高い」が4割弱という結果になった。

「60代」と「70代」と回答した人それぞれの退職年齢に対する意見は以下が寄せられた。

  • 「年齢別」60代まで働く予定の方の退職時期に対する意識

「60代」まで働く予定と回答した160名のうち、「理想通りの退職年齢」と回答した人は7割を超えている。

  • 「年齢別」70代まで働く予定の方の退職時期に対する意識

一方、「70代」まで働く予定と回答した89名のうち、「理想通りの退職年齢」と回答した人は3割程度、「理想の退職年齢よりも高い」と回答した人は6割を超えている。このことから、一般的な退職年齢である「60~65歳で退職したい」と希望している人が多いにもかかわらず、一部の人は仕方なく70代まで働く予定であることがわかる。

老後も働く理由は「生活の資金を得るため」が最多

  • 老後も働く理由を教えてください

「老後は何歳まで働く予定か」の設問に関連して、働く理由についても尋ねたところ、「生活のための資金」が圧倒的に多く、8割以上が選択した。次いで「趣味娯楽のための資金」「社会とのつながりを持ちたいから」となった。

「生活のための資金」を選んだ理由には、「生活資金は、いくらあってもいい。年金がいくらもらえるか分からないので」(40代女性)、「老後にお金が必要なので、周りに迷惑をかけないためにも生活資金は大事だと思っています」(40代女性)、「生活のためが1番です。もっと早く仕事は辞めたいのが本音です」(40代男性)といった声が寄せられ、年金に対する不安を理由に「生活のための資金」を選ぶ人が多い印象だった。また、家族や周囲に迷惑をかけないために、老後に必要なお金を貯めておきたいという意見も少なくなかった。

「趣味娯楽のための資金」を選んだ理由には、「老後を楽しく過ごすためにも蓄えは必要だから」(40代女性)、「趣味娯楽のための資金。最低限の暮らしは年金でも可能かもしれないが、少し娯楽などを楽しみたいと思った時に年金の額だけでは心もとないから」(50代女性)、「趣味娯楽のための資金にしたいです。今は子育てで海外に行く余裕などはないのですが、子供が成人したら心ゆくまで海外旅行に行きたいです」(40代女性)といった声が寄せられた。

「社会とのつながりを持ちたいから」を選んだ理由には、「仕事で社会とのつながりを持ち、適度なストレスとプレッシャーも受けつつ、できるだけ長く生き生きと生活したいからです」(40代女性)、「社会とのつながりを持ち、人のお役に立つことが生きがいになると思うから。自分1人ではその楽しさや生きがいは見つけられないと思う」(40代女性)、「健康ならいつまでも短時間でも仕事をしていられるのが幸せと感じます。社会とのつながりを持つことは若さを持続できると思うからです」(50代女性)といった声が寄せられた。

今後の働き方については意見が分かれる傾向にある

  • 今後も働く予定の方に質問、今とは違う仕事に変えようと思いますか?

今後も働く予定の人に、「今とは違う仕事に変えようと思っているか」尋ねたところ、約4割が「どちらとも言えない」と回答し、「はい」と「いいえ」はほぼ同数の結果となった。

「どちらとも言えない」を選んだ人からは、「まだそこまで具体的に先を考えていないから」(40代女性)、「今は子供がいるので、在宅でかつ労働時間が限られていますが、子供が成人したらも少し労働時間が長くて、外に働きに行きたいです」(40代女性)、「お金になるのなら職種は問わないが、向き不向きがあるのでその点は考慮したい」(50代男性)、「積極的に変えようとは思わないが、機会があれば変えるかも」(40代男性)などの声が集まった。「今後のことはまだわからない」ことを理由に挙げた人が多く、積極的に仕事を変えたいとは思わないものの、今の仕事よりも自分にとって都合のよい仕事があれば変えたいと考えるも多いようだった。

「はい」を選んだ理由には、「現職の給与は安いので今後の生活を考えると、もう少し給与の高い職に変えて蓄えを増やしたいからです」(40代男性)、「40代にして資格の勉強をしています。資格を取ると、転職や開業、フリーランスなどの働き方の幅が広がるので、年代やその時の状況に合わせたライフワークを考えていきたいです」(40代女性)、「従来と同じ業種では負荷が重いと思うので、高齢でも対応可能な仕事にシフトしたい」(60代男性)、「何か好きなことを仕事にしたいと思っています」(50代女性)など、さまざまな意見が挙げられた。なかでも、体力の衰えなどを考慮して仕事を変えたいという、ややネガティブな意見が多い印象だった。

「いいえ」を選んだ人の意見は大きく2つに分かれた。1つは、「現在の仕事は正社員で待遇も良いので、できればこのままずっと同じ場所で働きたいと考えています」(40代女性)、「今の仕事が、自分に合っていて、歳をとっても身体に負担もかからずに続けられそうだから」(50代女性)など、「今の働き方に満足している」という意見。もう1つは、「年齢があがると新しいことを覚えるのは大変だから」(40代女性)、「50代の後半になる年齢から考えて転職するにも望む職種に就けるとは考えにくいからです」(50代女性)など、「ある程度の年齢になってからの転職は難しい」というものだった。

老後の主な3つの楽しみとは?

  • 老後にしたいことはありますか?

「老後にしたいことはありますか」の設問で多かった回答は「趣味を楽しみたい」「旅行に行きたい」「美味しいものを食べたい」の3つに分かれた。日頃は時間・お金の制約があり、なかなか自分のやりたいことができない人が多いようだ。そのため、老後は趣味や旅行などをじっくり楽しみたいと考えているのではないかと推察される。

「生前整理」は終活に必須

  • 老後に向けた終活として、しようと思っていることはありますか?

「老後に向けた終活として、しようと思っていることはありますか?」の設問では、「断捨離・生前整理」「財産の管理・整理」「エンディングノートの作成」の順に多く選ばれた。「断捨離・生前整理」は約6割と、その他の回答に比べて選んだ人が圧倒的に多いことがわかる。

「断捨離・生前整理」を選んだ理由には、「無駄なものはなくして、シンプルに過ごしたいです。家族に迷惑をかけずに、最低限の荷物で元気に過ごしたいです」(40代男性)、「自分たちでないと分からないことですし、子どもが困らないようにスムーズに手続きができるようにしたいです」(50代女性)、「40代でもちょっとした片づけや衣替えの整理でも腰をいためたりします。年々、断捨離の片づけが辛いと感じるので、早めに済ませた方がいいなと思います」(40代女性)、「夫が予期せず逝去したが悲しみを抱えながらの断捨離は非常に辛かった。自分は残される子どもに同じ思いをさせないためにも、生前整理をできるだけやっておきたい」(40代女性)、「実親が健在だが、断捨離や整理、終活しているのをみて自分もそうしたいと思う」(50代女性)といった声が寄せられた。