ドイツの高級車ブランドとして有名なメルセデス・ベンツとポルシェ。今でこそライバルのイメージが強い2社ですが、かつては互いに協力しあった時代がありました。今回は、そんな2社の協力の象徴ともいえる「500E」をクルマ大好き学生ライターが取材してきました!
そもそも「500E」ってどんなクルマ?
メルセデス・ベンツの「500E」は、現在の「Eクラス」の原型となったW124型「ミディアムクラス」4ドアセダンをベースに、ポルシェが一部の生産ラインを担当して、より速く走るためのチューニングを加えた1台です。当時のポルシェは経営不振に悩まされており、メルセデスの車種である500Eの生産を一部担当することで、業績回復を狙ったようです。
そんな500Eですが、「オートモビルカウンシル2024」(AUTOMOBILE COUNCIL 2024)に展示されているとの話を聞きつけ、実際に見に行ってきました!
500Eの細かいポイントを実車でチェック!
500Eの最大の特徴は、何といってもエンジンです。搭載するのは4,973ccのV型8気筒エンジンで、約330馬力を発生します。この数値は、ベースとなったミディアムクラスはもちろん、同年代の他のスポーツカー達と比べてもかなりの高性能です! 実際にボンネットの下をのぞいてみたのですが、エンジンルームにぎっちりと詰まった大きなエンジンが印象的でした。
エンジンが生み出す大きなパワーを路面を伝えるためには、太くて大きなタイヤを履かせる必要があります。そのため、この500Eは前後のフェンダーが大きく膨らんで張り出しています。とても特徴的なポイントですね。
そんなスペックとは裏腹に、内装からはかなり快適そうな印象を受けました。
元々が4ドアセダンということもあり、車内の空間は広々としていて、家族4人でしっかり座れるスペースが確保されています。また、トランクルームに関しても、かなり沢山の荷物が積めそうです。実際、展示車には大きなゴルフバッグが入っていたのですが、まだまだ荷室にはゆとりがありました。
屋根にはサンルーフもついており、解放感は抜群。家族旅行でどこかに出かけるには申し分のないクルマだといえそうです。まさに「スピード」と「コンフォート」を両立させた1台というイメージです。
詳しい事情を聞いてみた!
このクルマ、なんと、オートモビルカウンシルの会場において実際に販売中でした。値札は560万円。出展者である「ヤナセクラシックカーセンター」の方に、少しだけお話を伺うことができました。
――このクルマはヤナセさんが販売しているということですか?
ヤナセ担当者:厳密にいうと、我々(ヤナセ)に整備をお任せくださっているオーナー様が販売を検討しており、その方と購入希望者を我々がおつなぎする形になります。
――このクルマの走行距離は何kmですか? それと、維持するうえで大変な部分はありますか?
ヤナセ担当者:約16万km走った車両になります。ちょっと長いように感じるかもしれませんが、同じW124型はドイツではタクシーなどによく使用されていて、30万kmを走ったなんていう話も聞くので、距離だけでみれば、まだまだ走れる車両かと思います。
ただし、維持するうえでは、部品も少ないので、やっぱり大変なところもあります。特に日本は湿気が多く、夏は暑いので、こういったヨーロッパの気候に合わせたクルマは、エアコンや内装などに負担がかかりやすいんです。。
――500Eはメルセデスのクルマですが、ポルシェも関わっていると聞いたことがあります。何か、ポルシェが関与したことがわかる特徴はありますか?
ヤナセ担当者:正直に言いますと、残念ながら見つけるのは難しいです。古いクルマなので記録もあまりないですし、何より、この500Eがポルシェ工場で生産されたかどうかについて、細かな記録をたどることは本当に難しいんです。(500Eがポルシェ工場で生産されたことに関する)いろいろなうわさがありますが、この個体に関しては、保証できることはないというのが現状です。
ポルシェとベンツの協力があったといわれている500Eですが、その実態は調べてみてもまだまだ謎に包まれているようです。古い上に謎多き1台でしたが、とてもきれいな内外装からはオーナーさんのクルマ愛を感じました。質問に丁寧に答えてくださったヤナセの方、ありがとうございました!