JTBは4月4日、「2024年ゴールデンウィークの旅行動向」を発表した。調査は3月7日~13日、事前調査で「GWに旅行に行く/たぶん行く」と回答した15歳〜79歳の男女2,060名を対象にインターネットで行われた。
新型コロナが5類感染症に移行されてから初めてのGWとなる今年は、4月27日(土)~29日(月・祝)が3連休、5月3日(金・祝)~6日(月・振)が4連休となっており、4月30日(火)、5月1日(水)、5月2日(木)を休みにすると10連休に。そこで、4月25日~5月5日の間の旅行意向を調査した。
調査によると、GW期間中に旅行に「行く」「たぶん行く」という人は調査時点で26.5%と、旅行意欲はコロナ禍前(2019年26.3%)と同等まで回復している。
国内旅行者数は2,280万人(対前年100.9%)、国内旅行平均費用は3万6,100円(同103.7%)で、総国内旅行消費額は8,231億円(同104.7%)。
出発日のピークは「5月3日(金・祝)」(20.8%)が最も多く、次いで「4月27日(土)」(16.6%)と、前半の3連休と後半の4連休の2つのピークがみられ、旅行日数は「1泊2日」(37.7%)が最多となっているものの、前年から1.2ポイント減少。一方、「2泊3日」(33.9%、前年比+0.2pt)、「3泊4日」(17.1%、同+1.7pt)は前年から増加している。
人気の旅行先としては、1位「関東」(20.1%)、2位「近畿」(16.7%)、3位「東海」(12.8%)となり、旅行先と居住地が同じ地方である域内旅行の割合は、「北海道」(62.5%)や「九州地方」(60.7%)で60%を超えている一方で、「近畿地方」は30.2%、「関東地方」は31.1%と、隣接する地方に分散しているよう。
一人当たりの旅行費用については、「1万円~2万円未満」「2万円~3万円未満」(ともに20.2%)が同率で最も多く、いずれも前年から減少傾向に。次いで「4万円~5万円未満」(17.5%)が前年より3.6ポイント増加。3万円以上の合計は前年に比べて4.7ポイント上昇しており、全体的に費用は増加傾向といえる。
JTBの宿泊・国内企画商品の予約状況をみると、前年比100%(延べ人数、4月3日付)。特に好調な方面は、東京ディズニーリゾート®を含む「東京」と、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを含む「関西」。また、「沖縄」「九州」と航空機利用の長距離方面も好調となっている。
今年のGWにおける海外旅行者数は52万人(対前年167.7%、対19年56.0%)と推計。前年は新型コロナの水際措置変更についての発表がGW直前だったために、海外旅行を断念した人が一定数いたと想定され、今年はその反動が見込まれる。2014年〜2018年の海外旅行者数は約55万人前後で推移しており、その平均と比較すると9割ほど回復していることに。海外旅行平均費用は26万9,000円(同104.7%)、総海外旅行消費額は1,399億円(同175.6%)となっている。
本調査対象者のうち、今年のGWの旅行先を「海外」と答えた人は4.7%。出発日のピークは「4月27日(土)」(18.8%)、旅行日数は「3泊4日」(27.1%)が最多に。また旅行費用は「7万円~10万円未満」(18.8%)が最も多く、次いで「40万円以上」(16.7%)、「20万円~30万円未満」(15.6%)となり、人気の旅行先は1位「韓国」(20.8%)、2位「東南アジア」(16.7%)、3位「台湾」(13.5%)。
JTBの海外旅行の予約状況は前年比225%(人数、4月3日付)。好調な方面は、「アジア」「ハワイ」となっており、短い日数で旅行ができる方面が人気のよう。出発日は遠方の旅行の場合は4月27日、28日が中心となり、近場の旅行の場合は5月2日、3日に集中している。
日本経済は、新型コロナの影響がほぼなくなっているものの、国際情勢は不安定な状態が続き、国内外の物価は上昇傾向に落ち着きがみられるものの引き続き高い水準にある。株式市場は活況を呈しているが、その一方で為替相場については円安傾向が続いており、わが国の物価高の一因に。2月の月例経済報告によると、雇用・所得環境の改善などによる緩やかな回復が期待される一方で、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっていることに加え、物価上昇、中東情勢、金融資本市場の変動などの影響、さらには「令和6年能登半島地震」の影響が懸念されている。
このような経済環境にある中、GWの旅行について当てはまる状況を聞いたところ、「仕事や会社の業績が悪化し収入が減りそうだ」(13.6%)の前年比伸び率は「仕事や会社の業績が良化し収入が増えそうだ」(7.5%)の同伸び率より高く、所得の厳しい状況がうかがえる。
その一方で、「家計に余裕がある」(5.0%)の同伸び率は「家計に余裕はない」(24.6%)の同伸び率よりも高く、若干ながら余裕が出てきているよう。そのような中、前年に比べて「趣味や旅行などにかける費用を減らしている」(16.6%)は減少、「趣味や旅行などにかける費用は減らしていない」(7.1%)は増加となっており、また「先行きがわからないので大きな支出は控えておきたい」(16.8%)が減少、「先行きがわからないので、今のうちに大きな支出を考えたい」(5.3%)が増加となるなど、趣味や旅行への出費を惜しまない様子がうかがえた。
最後に、「今後1年間に旅行する際の懸念事項」を国内旅行、海外旅行それぞれについて聞いたところ、国内旅行では「物価が高い」(36.1%)の懸念がどの性年代でも高い傾向にある一方で、「インバウンドの影響により観光地が混雑している」(31.8%)という懸念は高い年齢層で顕著。海外旅行については、「円安が続いている」(44.4%)が最も多く、今後の為替相場の行方に注目が集まる結果となった。