帝国データバンクはこのほど、2024年4月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しについての調査・分析を行い、結果を発表した。対象期間は3月29日9時時点。

  • 月別値上げ品目数 推移

まず、主要な食品メーカー195社における家庭用を中心とした4月の飲食料品値上げは、2,806品目。値上げ1回あたりの平均値上げ率は月平均で約23%となった。

2024年の値上げ品目数は、7月までの累計で6,433品目で、年間の平均値上げ率は19%に達している。

  • 値上げ要因の推移

23年の値上げ予定品目で6,000品目到達が判明したのは22年11月時点であったのに対し、24年分では同年3月となっており、前年より4カ月遅いペースであった。

2024年の値上げでは、前年に比べて人件費や物流費の増加、円安水準の長期化などの要因が拡大した事も分かった。24年(1月〜7月)に予定される値上げ品目のうち、「円安」(29.4%)と「人件費」(24.4%)は、23年同期を大幅に上回る水準となっている。

「原材料高」(89.1%)由来の値上げは、輸入小麦粉の価格引き上げといった要因を受けた2023年同期を下回る水準に。

ただし、24年3月以降はオリーブ油やゴマ、ノリ、カカオ豆など、猛暑や干ばつなど天候不順を要因とした不作により販売価格を引き上げた食品や飲料が相次いでいる。

2024年4月の値上げは、ハム・ソーセージなど畜肉製品や冷凍食品など「加工食品」が2,077品目を占め、全食品分野で最多に。「調味料」(369品目)は2カ月ぶりの100品目超となった。「酒類・飲料」(287品目)は、ウイスキーなどの洋酒、トマトジュース、即席コーヒーなどが多かった。

  • 食品分野別の値上げ品目数

また、天候不順の影響で不作になった事や、円安水準により輸入コストの押し上げによって原材料高も顕在化している事から、23年秋ごろから沈静化していた値上げが、今夏以降に本格化する可能性が見込まれる。

今後の見通しとしては、原材料高などが押し上げる形で月平均1,000品目前後、年間で最大1.5万品目前後の緩やかな値上げペースが当面続くと想定されるとのこと。