沖縄や大阪で自然発生的に誕生した「JJ」をみなさんは知っているだろうか? ジャスミン焼酎をジャスミン茶で割るというこの飲み方は、女性や若い世代を中心として密かに広がりを見せている。炭酸や甘いお酒が苦手でも楽しめるという「JJ」を試してみることにした。

  • 「茉莉花〈ジャスミン茶割・JJ〉缶」で手軽に楽しめる「JJ (ジェイジェイ)」

「茉莉花」人気の秘密は「JJ (ジェイジェイ)」?

2004年に発売されたサントリーの「ジャスミン焼酎〈茉莉花 (まつりか)〉」は、ジャスミン茶葉の最高等級茶葉「銀毫 (ぎんごう)」から造った爽やかな香りの乙類焼酎と、すっきりした後口の焼酎甲類をあわせた、清涼感のある焼酎だ。

焼酎の本場、鹿児島の大隅酒造でこだわって製造された「茉莉花」は、心地よいジャスミンの香りと軽やかな飲みやすさで、食事ととても良く合う。焼酎が全体的にダウントレンドにあるなか、この「茉莉花」が密かに販売実績を伸ばしているという。

なぜ茉莉花にスポットライトが当たったのか? その秘密は「JJ (ジェイジェイ)」にあった。

ジャスミン焼酎のジャスミン茶割り

「JJ」とは“ジャスミン (Jasmine)焼酎のジャスミン (Jasmine)茶割り”という飲み方を指す。2つのジャスミンの頭文字を取って「JJ」と呼ばれるようになったそうだ。

その発祥は諸説あるが、一説には沖縄のボトルキープ業態のお店で自然発生し、飲みやすさから女性人気を獲得していったことが始まりだという。それが大阪へと伝搬し、非炭酸で甘みが少なく食事に合わせやすい味わい、「JJ」というキャッチーな響きで食業態にも拡大していったと考えられている。

実際、茉莉花の2023年度・出荷実績からみるエリア別構成比では近畿が61%、沖縄が3%を占めるという。また「JJ」の2023年度・飲用者年代別構成比においては、20~30代で77%。若年層で「JJ」認知・経験率が拡大していることが伺える。

「JJ」を気軽に楽しめる「茉莉花〈ジャスミン茶割・JJ〉缶」

この「JJ」を多くの人に楽しんでもらうべく、サントリーは4月9日に「茉莉花〈ジャスミン茶割・JJ〉缶」(335ml)を発売する。希望小売価格は167円 (税抜)。コンビニではすでに3月5日から先行販売されており、お店で見かけた方も多いだろう。

3種の異なる茶葉を使用したジャスミン茶を使用。業務店での「JJ」品質を参考に、アルコール度数:4%のすっきり飲みやすい味わいに仕上げているという。すでに発売されている通常の「茉莉花」(500ml瓶/1800ml紙パック、アルコール度数:20%)とはどのように違うのか。さっそく試してみよう。

  • ジャスミン焼酎〈茉莉花〉全シリーズ。なお3月上旬より瓶と紙パックは新デザインへの切り替えが始まっており、より爽やかさが強調されている

▼茉莉花×伊右衛門 贅沢ジャスミンの「JJ」を試飲

まずは、自分で割って作る「ジャスミン茶割(JJ)」から。茉莉花自体は甲類焼酎90%、麦と麦こうじ、そしてジャスミン茶葉から作られた乙類焼酎10%を組み合わせで作られている。焼酎の甘く芳醇な香りにジャスミンの香りが乗ってくる印象だ。ストレートやロックでも飲みやすいが、やはりアルコール度数:20%のれっきとした焼酎であることに変わりはない。

  • 「茉莉花 500ml瓶」と「伊右衛門 贅沢ジャスミン」で「JJ」を作ってみる

ここに氷を入れ、「サントリー 伊右衛門 贅沢ジャスミン」を注いでいく。比率は茉莉花:1にジャスミン茶:3だ。無色透明な焼酎が徐々にジャスミン色に染まっていくのがなんとも楽しい。そしてジャスミン茶を加えるごとに、香りがいっそう華やかに漂ってくる。これは茉莉花だけでもジャスミン茶だけでも出せない相乗効果がありそうだ。

  • 「茉莉花」とジャスミン茶の相乗効果で華やかにジャスミンが香る

出来上がった「JJ」は、たしかに非常に飲みやすい。アルコールの臭みをジャスミン茶が中和しており、居酒屋の食事を楽しみながらグイグイ行けてしまう感じだ。近いものとしてウーロンハイがあるが、「JJ」の方が渋みを感じにくく、飲んだ後の爽やかさが勝る印象。ただし口の中をリセットするのであればウーロンハイが良いかもしれない。

▼「茉莉花〈ジャスミン茶割・JJ〉缶」を試飲

次に、氷を入れたグラスに「茉莉花〈ジャスミン茶割・JJ〉缶」を注ぎ、試飲してみる。缶のフタを開けた瞬間からジャスミンの香りがするが、自分で割った場合と比較するとちょっと控えめかもしれない。

口にした印象も同様で、自分で割った場合と比べるとかなりあっさりとしている。ただでも飲みやすい「JJ」がさらに飲みやすくなっており、お茶感覚でごくごくといけてしまいそうだ。だが大きな違いは口にした後と余韻で、後からジャスミンの香りが立ち、それが飲み終わりまで緩やかに続く感じだ。サントリーは335ml缶を作るに当たり「お酒に合うこだわりの抽出」を行ったそうなので、その効果かもしれない。

「JJ」意外にも楽しみ方が広がっているジャスミン焼酎

どちらの「JJ」でも共通しているのは、「食事に合う」という点だ。近年サントリーは食中酒というジャンルの開拓を進めているが、「茉莉花〈ジャスミン茶割・JJ〉缶」はまさにそんな一本と言える。もちろん、もっとお酒を楽しみたいという人は自分で好みの濃さの「JJ」を作ると良いだろう。

ジャスミン焼酎の飲み方は「JJ」のほか、緑茶で割った「JR」、ソーダで割った「JB」などさらに広がりを見せている。すでに「串カツ田中」や「杉玉」などの店舗でも展開されており、そのおいしさが浸透すれば今後さらにメニューに加えるお店が増えるかもしれない。まずは一度、「JJ」の味わいを試してみて欲しい。

  • 「JJ」と「茉莉花」