第37期竜王戦(主催:読売新聞社)はランキング戦ほかが進行中。3月21日(木)には1~6組の計8局が行われました。このうち、東京・将棋会館で行われた1組ランキング戦の渡辺明九段―久保利明九段戦は169手で久保九段が勝利。得意の三間飛車を駆使して本戦出場まであと1勝と迫りました。
振り飛車ミレニアム
今期の1組ランキング戦は17名のトーナメントを勝ち上がった2名が本戦出場権を得るもの。本局の勝者はベスト4に進みます。振り駒で先手番を得た久保九段はクラシカルな三間飛車を採用。自玉を振り飛車ミレニアムに囲ったのは近年流行する堅さ重視の構えです。
後手の渡辺九段も居飛車穴熊で追随し盤上は持久戦へ。駒組みが頂点に達したところで久保九段が動きます。3筋の歩をぶつけて戦端を開いたのが好位置の左銀を生かす積極策。桂頭の傷を自らさらすようですが、いつでも端攻めの含みがあるためこの桂は捕まりません。
久保流振り飛車の快勝譜
首尾よく仕掛けを得た久保九段はここから軽快なリズムでリードを拡大します。大胆な飛車ぶつけで交換に持ち込んだのが自陣の堅さを生かす好手。途中の折衝で先手は歩を5枚損しますが、端攻めであらかじめ後手陣を乱している点が大きく十分にお釣りがきます。
優位に立った久保九段は気持ちよい王手飛車取りで勝負を決めにかかります。終局時刻は21時28分、最後は粘り続ける渡辺九段を振り切った久保九段が快勝でベスト4に進出。次戦で本戦入りを懸けて山崎隆之八段と戦います。渡辺九段は出場者決定戦に回りました。
水留啓(将棋情報局)