ブレインスリープは、3月7日に睡眠習慣や睡眠負債など睡眠状態を直接判定する項目に加えて生産性やストレスの程度、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクなどを総合的にスコアリングする手法である「睡眠偏差値」における調査の結果を発表した。同調査は、1月に全国47都道府県の有職者1万人(性別・年齢・都道府県で割付)を対象に実施された。
2024年の有職者1万人における平均睡眠時間は6時間50分と、過去5年の調査において最も長い時間という結果に。一方で、OECD加盟国の平均睡眠時間である8時間28分よりも圧倒的に短く、依然として日本の睡眠は世界でも最低レベルにあると言える上に、調査によって仮定した理想の睡眠時間と実際の睡眠時間との差が50分あったこともわかった。
さらに、2023年12月に厚生労働省から発表された「健康づくりのための睡眠ガイド2023(案)」において、成人の推奨睡眠時間は6時間以上とされているのに対し、6時間未満の睡眠時間の割合は23.7%を占めている。
「睡眠が生産性に影響を与えているか」という質問に対して、「強く影響している」または「影響している」と回答した人の割合は、70%に及んだ。
自身の生産性を0-100%で表現した際の回答値と年収を掛け合わせた経済損失額と、オリジナルの質問の回答結果をスコアリングし、さらに4段階A~Dランクに置き換えた(A:課題なし B:軽度な課題あり C:課題あり D:要改善)睡眠の質の関係性を調べたところ、睡眠の質と経済損失額に相関があることがわかった。具体的には、睡眠の質に課題がないAランクの人の経済損失額は年間89万円で、要改善のDランクの人では年間165万円と76万円の差があり、これは睡眠の質を改善することで、従業員の経済損失額が低減し、ひいては企業の労働生産性の向上につながる可能性を示唆する結果が得られたことを意味する。
睡眠と出社への憂鬱さについて調査したところ、出社することに対して憂鬱と感じている日数が週1回以上と回答した人の割合は全体の約6割となり、その中でも週5日以上と回答した人の割合は2割以上に。
また、出社するのが憂鬱と感じる日数が0日の人(n=3,931)は睡眠の質スコアが平均76.6であったが、憂鬱と感じる日数が多くなるにつれて同スコアの平均点は減少し、週5日以上憂鬱と感じる人と比べると、8.7ポイントもの差があることがわかった。なお、出社することが憂鬱と感じる日数と睡眠時間には同じような関係性は見られなかったという。
睡眠偏差値TOP1,000とWORST1,000を比較したところ、平均睡眠時間において、TOP1,000は7時間12分と本調査全体の平均睡眠時間6時間50分より22分長く、比較的十分な睡眠がとれていた一方で、WORST1,000は6時間32分と全体平均と比較して約18分短い結果になった。また、睡眠の質スコアにおいてTOP1,000とWORST1,000には28.6ポイントの差があった。
さらに、「就寝前のスマホの利用率」に関してはTOP1,000の就寝前のスマホ利用率が7.7%と低いのに対して、WORST1,000は50.5%と半数以上が利用しており、明確な差異が確認された。働き方においても、TOP1,000とWORST1,000では、総労働時間は1時間20分、特に時間外労働時間では1時間33分の差があり、いずれもWORST1,000の方が長い時間働いていることが確認された。