数々のドラマや映画に出演し、映画『紙の月』(2014)で第38回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。NHK連続テレビ小説『スカーレット』(2019~2020)、NHK大河ドラマ『青天を衝け』(2021)などで確かな演技力を披露し、女優として着実に進化を遂げてきた。
転機になったと感じている出来事を尋ねると、「転機は都度都度あり、今まで積み重ねてきたからこそ今があるんだなと思います」とした上で、「留学が一番大きいかな」と、2017年から約1年間アメリカへ語学留学したことを挙げた。
そして、留学によって「今まで気にしていたことが気にならなくなった」と生きやすくなったと言い、変われた理由を尋ねると「国柄じゃないですか!?」と笑う。
「日本はいろいろと気にしすぎなところもありますし、日本だと街中を歩くにしても気にしながら生活することが多かったので。アメリカに行ったら自分のことを知っている人なんていないから、気にしないで生活できるようになり、日本に戻ってからも“気にしない精神”で生きられるようになり、楽になりました」
その変化が女優としてもプラスに。「肩の荷が下りたというか、肩の力を抜いてお芝居ができるようになりました」と語る。
吹き替え初挑戦となった『マダム・ウェブ』も「学ぶことがとても多かった」と、大島にとって大切な経験に。
「自分も芝居をしているという感覚で演じつつ、ダコタ・ジョンソンの芝居にも重ねていたので、今までとは違うアプローチだったなと。今後の作品にどう生きるかはまだわかりませんが、本当に大きな経験をさせていただいたと思っています」
そして、アフレコは「本当に楽しかったです」と目を輝かせる。
「収録に5日間を費やしましたが、それでももっとやりたいなと寂しい気持ちになりました。マーベルの世界に入れたことが楽しかったのかな。最初に映像を見せてもらった時や、試写を見た時に、『見ていいんですか!? ありがとうございます!』って、すごく胸が高まり、予告を見た時も『うわ~最高だな!』と思いました」
作品にちなみ、“開花させたい才能”を尋ねると、「何でも開花させたいですけど、自分で自分の体を癒やせる能力があるといいですよね。傷とかができてもすぐに治せたら最高だなと思います」と答えた。
今後は「全然思い描けない」 仕事との向き合い方も変化
現在35歳の大島。今後をどのように思い描いているか尋ねると、「全然思い描けないです」と話す。
「20代の頃は希望にあふれていて、『こんな風になっているのかな?』とか考えていましたが、今は何も考えられてないです。『今年も健康で生きられますように』ぐらいしか考えていません」
仕事に関して、母親になって一つ一つの仕事を大切にしたいという思いが強くなったと明かしていたが、それくらい覚悟を持って挑める作品に参加していきたいと考えている。
「仕事に対する向き合い方や時間の使い方が変わり、本当に時間って貴重だなと感じているので、時間を大切にしたいなと。だからこそ、どれくらい自分が作品や役に覚悟して挑めるか、時間を使うということに覚悟して挑めるか、そういうことを考えながら今後の仕事はやっていくんだろうなと思います」
最後に、『マダム・ウェブ』を心待ちにしている人たちに、「マーベル初の本格ミステリー・サスペンスで展開が読めず、登場人物一人ひとりのセリフや会話で謎が解き明かされていきます。字幕だと追いつかない場合もあると思うので、吹き替えでしっかり、どういうことが起きているのか、謎解きを一緒にしながら見ていただけたらと思います」とメッセージを送った。
1988年10月17日生まれ、栃木県出身。2006年よりにAKB48の中心メンバーとして活躍し2014年に卒業。その後も女優として多くの作品に出演。近年の主な出演作はドラマ『スカーレット』(19)、『東京タラレバ娘』(17、20)、『七人の秘書』(20)、『青天を衝け』(21)、『ネメシス』(21)、『正義の天秤』(21)、映画『生きちゃった』(20)、『明日の食卓』(21)、『妖怪大戦争 ガーディアンズ』(21)、『ボクたちはみんな大人になれなかった』(21)、『とんび』(22)、『七人の秘書 THE MOVIE』(22)、『天間荘の三姉妹』(22)など。
スタイリスト:有本祐輔(7回の裏) ヘアメイク:松野仁美