LIFULL HOME'Sが、新生活シーズンを前に住まい探しが活発になる時期にあわせ、不動産仲介業務担当者379人を対象にした「おとり物件」に対する対応実態調査、および消費者を対象にした不動産ポータルサイトに対する認識調査を実施した。
おとり物件とは、故意・過失に関係なく、不動産ポータルサイト等に入居者募集の広告が掲載されているものの、「存在しない物件」・「存在するが、取引対象にならない、あるいは取引の意思がない物件」のこと。気に入って問合せをした物件がおとり物件だった場合、それまでのリサーチにかけた時間や、不動産会社への訪問等が無駄になってしまうだけでなく、不動産業界への信用喪失にもつながりかねない。
「おとり物件がサイトに掲載されている事態が生じやすいと感じる月はいつですか?」に対して、最も多かったのが3月で40.9%、次いで2月の33.8%、1月の22.2%となった。
1~3月は、4月からの新生活に向けた住まい探しユーザーの増加に伴い、問い合わせが増えることに加えて、物件の退去や新規募集などの動きが加速することから、不動産業界にとって繁忙期にあたり、確認や情報更新が追いつかず、それ故にすでに募集を終了した物件などが掲載される事態が発生してしまうと考えられ、おとり物件が発生しやすい時期は不動産業界の繁忙期と重なることがわかった。
また、「おとり物件をサイトに掲載してしまう事態が起こらないように何らかの対策を行っていますか?」に対しては、85.7%が「対策している」と回答した一方で、32.7%が「対策を行っていない」または「対策は行っているが、不十分である」と回答。業界全体としても「おとり物件」は課題であるという意識はあるものの、おとり物件を発生させないための対策に関しては差があることがうかがえた。
スピーディーな広告取り下げを阻害する要因の第1位は「人手不足」
「おとり物件」が生じる要因の一つに、仲介会社において、最新の物件情報の把握ができなかったり、物件情報の更新作業に漏れや遅れが生じたりすることがあげられる。そこで、「募集が終了した物件について、募集終了からどのくらいの期間で広告掲載を取り下げていますか?」という質問をしたところ、4割が「1日以内」(41.4%)と回答となり、過半数が即日対応が出来ていない結果となった。
おとり物件を生じさせる原因の1つである、広告掲載取り下げのタイムラグへの課題意識を明らかにするため、「現状の広告掲載の取り下げ期間についてどのように感じていますか?」と質問したところ、4割が「可能ならもっと早く取り下げたい」と回答。
さらに「可能ならもっと早く取り下げたい」と回答した人を対象に行った、「広告掲載の素早い取り下げを阻害している要因は何ですか?」という質問に対して、最も多かった回答は「人手不足のため十分なメンテナンスができない」(49.0%)、続いて「うっかりミス等の人為的な問題」(47.1%)、「システムの導入などDXが進んでいない」(20.9%)となった。