パーソル総合研究所は2月7日、「学び合う組織に関する定量調査」の結果を発表した。調査は2023年10月24日〜27日、正規雇用就業者である20歳〜60歳の男女6,000人を対象に行われた。
まず、業務外の学習時間は、56.1%が「無し」と回答。学習し続けている期間は、「1〜3年未満」が13.1%でピークとなっている。
学習方法としては「どれも行っていない」が過半数を超えたが、次いで「WEBページを読む」が16.6%、「書籍・専門書を読む」が16.5%で続いている。過去3年の研修受講経験は、72.7%が「ひとつもない」と回答。「個別の業務に関するスキルアップ研修」は、10.6%となっている。
年代別では、男性は40代以降、女性は30代以降より、学習意欲も学習時間も大きく減少している事も分かっている。
また、「研修無し(過去3年間)かつ学習無し」という層は、全体で48.5%となっており、特に女性・小規模な企業でやや多い傾向が見られた。
学習者は無学習者と比べて、働くことを通じて幸せを感じている実感が20.3%高く、ワーク・エンゲイジメントも17.3%高い事が分かった。さらに、多視座性・時間軸の長さといった思考の広さ・柔軟性を示す指標も高い傾向も見られている。
次に、学びから遠ざかる要因とされる、学びについての偏った意識を、ラーニング・バイアスとして7つ特定した。「新人」「学校」「自信欠如」「地頭」バイアスなどが、学習意欲を下げるほか、「現状維持」「タイパ」「現場」バイアスなどは、学習時間を短くしている傾向が確認されている。
バイアスの高低を、平均値を基準としたヒートマップとして図示したところ、性年代別では、男女とも50代〜60代で「新人」バイアスが強く、男女ともに20代〜30代では「地頭」バイアスが高い傾向が見られた。女性の40代〜60代では「タイパ」バイアスと「現状維持」バイアスが強くなっている。
学習者に対して、自身の学びについて状況や内容を共有するかどうかを聞いたところ、56.2%が同僚に向けて「言わない」と回答。「言う」は12.0%にとどまった。管理職に絞っても同僚に向けて「言わない」と答えた人は47.8%にのぼった。
職場において可視化されている(同僚に共有されている)学びは、全体で19.7%。学習秘匿を促進してしまう要因としては、「学びは一人で行うもの」という独学バイアスや、周囲が関心を示さなそうだという無関心予期が影響していた事が分かった。