東京商工リサーチは1月22日、2023年(1-12月)「ラーメン店の倒産動向」調査の結果を発表した。調査は、日本産業分類の「ラーメン店」の2023年(1-12月)における倒産件数を集計、分析した。

  • ラーメン店の倒産、休廃業・解散 年推移

    ラーメン店の倒産、休廃業・解散 年推移

国⺠⾷として⼈気の⾼いラーメン店の倒産、休廃業が加速している。2023年のラーメン店の倒産(負債1,000万円以上)は45件(前年⽐114.2%増)で、前年の2.1倍と大幅に増えた。2009年以降では2013年の42件を超え、15年間で最多を記録。「新型コロナウイルス」関連倒産は29件(前年比107.1%増、前年14件)で、前年から倍増した。

また、休廃業・解散の動きも止まらない。2023年は29件(同31.8%増)で、2018年の23件を上回り、倒産と同じく15年間での最多を更新した。

倒産した主なラーメン店は、福岡県「マルゼンラボラトリー」、千葉県「ディ・プラン」、新潟県「東横」などで、倒産したラーメン店の資本金は「1千万円未満」が40件(前年比135.2%増、構成比88.8%)。従業員数別も「10人未満」が41件(前年比105.0%増、構成比91.1%)、「5人未満」が39件(同143.7%増、同86.6%)と、ラーメン店倒産の約9割を小・零細規模が占め、地区別では関東が3割を占めた。

  • 2023(令和 5)年(1-12月)ラーメン店 都道府県別倒産状況

    2023(令和 5)年(1-12月)ラーメン店 都道府県別倒産状況

ラーメン店は大規模な店舗や調理設備への投資を必要とせず、少ない開業資金で参入しやすいが、その分、出店のハードルが低く、同業との競合が激しい。また、コロナ禍に続き、ロシアのウクライナ侵攻や円安進行などで、食材、熱費、人件費などのコストが上昇。さらに、アルバイトなどの人手不足も深刻で、コストアップに直結している。

物価上昇の対抗策は価格転嫁が一番だが、消費者相手では価格上昇分のラーメン代の値上げは有名店でも容易ではない。ラーメンの適正価格は“味と納得感”と曖昧で、プライスリーダーがいない業界には“千円の壁”も立ちはだかっている。消費者相手の値上げは客離れと背中合わせなだけに、今後も他店との差別化を図れない小・零細規模のラーメン店の淘汰は続くとみられる。