大正製薬は1月16日、「腸活と痔に関する意識調査」の結果を発表した。調査は2023年11月、20歳〜69歳までの男女400名(男女各200名)を対象にインターネットで行われた。

「痔になった」「痔になりそうで心配だった」人の割合は?

  • 痔の経験について(男女別)

    痔の経験について(男女別)

「痔になったこと、または痔になりそうで心配だったことはありますか?」と質問したところ、男性31.0%、女性26.0%が「ある」と回答。中でも、男性60代(55.0%)は半数以上と突出して多く、一方、女性は年齢にかかわらず痔で悩んでいる人が一定数いることが明らかに。

痔の原因は何だと思うかと聞くと、「長いトイレで肛門に負担」(43.9%)が最も多く、次いで「慢性的な便秘」(36.8%)、「デスクワークなど、長時間座ったままの姿勢」(28.1%)という結果に。多くの人が、排便でのトラブルで肛門に負荷がかかることで痔になると認識していることがわかった。

  • 腸内環境を整えるためにしていること

    腸内環境を整えるためにしていること

次に、腸内環境を整えるためにしていることを聞いたところ、「水分を十分に摂取」(31.0%)、「野菜(食物繊維)を摂取する」(28.3%)、「乳酸菌食品を摂取する」(26.3%)が上位に。4人に1人以上が、身体によい食事を意識することで腸内環境を整えており、腸活志向であるよう。

しかし、腸内環境の改善が痔の改善にもつながることを知っている人は1割以下(8.0%)にとどまり、約半数(45.5%)が「知らない」と回答。腸内環境を整えることで排便トラブルは改善するが、それが痔の改善にもつながると認識している人は少ないことがわかった。

調査に合わせ江田クリニック・江田証院長が解説している。

「痔を引き起こす要因」とは

(1)排便トラブル(便秘・下痢)
便秘はいきむ時間が長くなり、下痢は肛門の括約筋(かつやくきん)がいつも緊張状態となることで、肛門周辺の毛細血管がうっ血しやすくなり痔が起こります。

(2)同じ姿勢を長く続ける
立ちっぱなし、座りっぱなしといった同じ姿勢を長く続けていると、肛門周辺がうっ血し、痔を招きます。これは肛門が心臓より下にあるためで、2本足で立つ人間の宿命ともいえます。

(3)食生活
食生活が不規則で朝食を食べなかったり、暴飲暴食を繰り返したりすると、腸に負担をかけ便秘や下痢を引き起こす原因になります。また、アルコールや刺激物は肛門付近の静脈の血流を滞らせるため、うっ血しやすくなります。

(4)ストレスや体の冷え
腸はストレスの影響を受けやすいため、ストレス過多になると便秘や下痢が起こりやすくなります。また、冷えると肛門周辺の血流が悪くなり、うっ血の原因になります。

(5)女性ならではの理由
排卵から生理開始前にかけて盛んに分泌される女性ホルモン「プロゲステロン」の影響やダイエット、排便の我慢などにより、女性は便秘に悩むことが多く、痔になりやすい傾向にあるといえます。また、妊娠すると血液が子宮に集中したり、胎児の成長により子宮が重くなったりするため肛門がうっ血しやすく、さらに出産時のいきみによる刺激も痔を助長します。授乳時には母乳に水分を奪われることでも便秘がちになり、痔を招きやすくなります。

「痔の予防法」とは

(1)1日1.5~2ℓの水を飲む
理想の便は、むいたバナナくらいの軟らかさ。そのために水分は不可欠なので、水をしっかり飲むことが大切です。

(2)食物繊維やねばねばした食品を摂る
よい排便のために欠かせない食物繊維。特におくら、めかぶ、山いもなどは保水性があり、便を軟らかくする働きをもつのでおすすめです。

(3)植物性の油を適度に摂る
油分は便をスムーズに出しやすくするので、よい排便のためには油の摂取も必要です。特に、オリーブオイルに含まれるオレイン酸はリラックスを促し、腸を動きやすくする効果も期待できます。

(4)バランスよく食べる
3食、栄養バランスよく食べ、便秘・下痢を解消することが重要。腸の動きをよくする食物繊維や整腸作用のある乳酸菌やオリゴ糖を含むヨーグルトなどを積極的に摂り、肛門を刺激するアルコールや香辛料は控えるとよいでしょう。

(5)トイレにスマホなどを持ち込まない
トイレにスマホなどを持ち込み長時間いきむことは、肛門に負担がかかるだけでなく、排便にも集中しづらいため控えましょう。

(6)こまめに体を動かす
長時間に及ぶドライブの座りっぱなしや仕事などでの立ちっぱなしの姿勢、重い荷物を持つ仕事、おなかに力が入るスポーツなどで肛門付近をうっ血させると、痔核の原因になります。こまめに体を動かすことを意識しましょう。

(7)シャワーだけでなく湯船に浸かる
入浴はストレス解消、血行促進、お尻を清潔に保つという効果が期待でき、痔の予防・改善に有効です。シャワーだけで済ませず、湯船に浸かる習慣をつけるとよいでしょう。