第37期竜王戦(主催:読売新聞社)はランキング戦が進行中。12月23日(土)には6組1回戦の森本才跳四段―中川慧梧アマ戦が関西将棋会館で行われました。対局の結果、四間飛車対居飛車の相穴熊戦を129手で制した中川アマが2回戦進出を決めました。
注目のプロアマ戦
今期のランキング戦6組は本戦出場に向けた1枠を70名で争うもの。本戦入りには6~7連勝が必要です。中川アマは山形県在住の31歳。アマチュア名人戦はじめ多くのアマ大会で実績を残しています。迎え撃つ森本四段は今年4月にデビューした22歳の新鋭です。
振り駒が行われた本局は後手・森本四段の四間飛車穴熊に先手・中川アマが居飛車穴熊で対抗する構図に進展。ともに自身の得意戦法をぶつけ合って虚々実々の中盤戦が続きます。森本四段が2筋の歩をぶつけて飛車先逆襲を目指したタイミングで中川アマが動きました。
中川アマが底力示す
着実な突破を見せられ慌てそうな局面ながら、中川アマが指したのはじっと4筋の歩を伸ばす一手。狙われそうな飛車を手順に盤上中央に転回させるこの構想がよく、局面は次第に中川アマのペースに傾いていきます。後手は2筋に残る歩が邪魔で飛車がさばけません。
リードした中川アマはその後もいかんなく実力を発揮。敵陣の拠点に金を打ち込んだのが「有利な時はシンプルに」の原則通りの決め手でした。俗手の寄せが間に合っては後手に受けはありません。終局時刻は20時50 分、最後は形勢の開きを認めた森本四段が投了。
これで勝った中川アマは2回戦に進出。同日に行われた新人王戦では原司アマが藤原悠暉三段に勝ったこともありアマチュア大躍進の一日となりました。
水留 啓(将棋情報局)