第82期A級順位戦(主催:朝日新聞社・毎日新聞社)は6回戦が進行中。12月15日(金)には菅井竜也八段―斎藤慎太郎八段戦が関西将棋会館で行われました。対局の結果、居飛車穴熊対三間飛車の対抗形を105手で制した菅井八段が5勝1敗として挑戦権争いに踏みとどまりました。
斎藤八段リベンジなるか
豊島将之九段が6戦全勝で独走する今期のA級、1敗の菅井八段は負けられない戦いが続きます。先手番の菅井八段は角道を止める三間飛車を採用。対する斎藤八段が居飛車穴熊で応じたのは、この一週前に両者の間で指された竜王戦の将棋からの変化です。
菅井八段が石田流本組みへの組み換えを図ったところで斎藤八段が仕掛けます。8筋の歩を突き捨てたのは飛車交換を強要する狙いで、直線的な切り合いになれば居飛車穴熊の堅さが生きると見た大局観。局面は先に大駒を成り込んだ斎藤八段のペースで進展します。
菅井八段が体入れ替え逆転
ともに決め手を得られないまま戦いは深夜に突入。美濃崩しを目指す斎藤八段が愚直な金打ちで迫ったとき、これを手抜いて攻め合いに転じたのが菅井八段の正確な速度計算でした。先手の美濃囲いは中盤での我慢の歩打ちが奏功し、瞬間の堅さを得ています。
終局時刻は23時53分、最後は自玉の受けなしを認めた斎藤八段が投了。投了図で菅井玉は序盤の端歩突きが生きて即詰みを逃れています。これで勝った菅井八段は5勝1敗と単独2位をキープ。敗れた斎藤八段は2勝4敗と黒星先行となっています。
次回7回戦で菅井八段は渡辺明九段と、斎藤八段は中村太地八段と対戦します。
水留 啓(将棋情報局)
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