■“夫婦”演じる作品に連続出演

――吉沢さんは4月クールでは『夫婦が壊れるとき』、7月クールには『週末旅の極意〜夫婦ってそんな簡単じゃないもの〜』に出演されて、タイトルにも「夫婦」と入っているくらい、夫婦とは何かと考えさせられるような作品が続いていますね。

『夫婦が壊れるとき』のときは、見てくださった方たちから「クズ」という感想しか来ないくらいで(笑)。

――(笑)。確かにいち視聴者としては、不倫する夫として主人公を追い詰めていくような役どころだったので、吉沢さんのお顔を見るのがつらくなっていくような(笑)。

あの役に関してはそう思っていただけて正解だったと思っています。次にやらせていただいた『週末旅の極意〜夫婦ってそんな簡単じゃないもの〜』は夫婦が向かい合っていくという、また違う感じの作品で。今回はタイトルに「泥濘」とあるように、人生の泥濘にはまってしまったキャラクターの1人を演じるので、ヘビーな役どころですが、夫婦というテーマが続く流れの中で、また違った挑戦ができるんだなと感じます。

  • 吉沢悠

――今作のお話が来たとき、率直に「不倫する夫役が続くな」と感じたりしたのでしょうか。

そうですね、不倫役専門の俳優になっていきたいわけではないので(笑)。ただ、『夫婦が壊れるとき』も、今作の店長も、僕は「この人はクズだ」と思って演じていません。店長も事情があってこうなっているんだろうなと思うので、なぜこのキャラクターが不倫に走ったのか、ということを理解して演じることを大切にしています。

■夫婦にとって大切なのは逃げないこと

――『夫婦が壊れるとき』は反響も大きかったのでは。

深夜枠のドラマでしたが、配信の再生数でゴールデンの作品と張り合える反響をいただき、時代が変わってきてるんだなとビックリしました。今作も安里(麻里)監督が「話題になる作品になる予感がします」と仰っていて。原作の持つ力もありますし、いい意味で、視聴者の方が、現実世界と離れた距離で楽しめるような作品を作ることができれば、話題作になるんじゃないかと僕も期待しています。

  • 吉沢悠

――4月クール、7月クール、今作と、“夫婦”を演じた吉沢さんが、夫婦にとって大切だと感じることはなんでしょうか。

僕個人の考えですか? そうですね……逃げるのが一番良くないのかな、ということでしょうか。自分だけじゃなく、相手にも悩んでいることや向き合っていることがあると思うので、「なんで自分ばかり大変な思いをしているんだろう」という思い込みから良からぬ行動に走ってしまう可能性があるのかなと、作品を通して思いました。しっかり向き合えば、相手や周りの人間が助けてくれることがあるかもしれないので、逃げないことが大事なのかなと、個人的には思います。

――ありがとうございます。では、最後に『泥濘の食卓』の見どころを教えてください。

キャラクターごとに抱えている“泥濘”があって、監督はそこをすごく丁寧に描こうとされています。それぞれのキャラクターが持つ世界観から目が離せないドラマになるであろう中で、1話・2話は特に大事に撮影したいと思っているので、この物語の始まりに注目してほしいです。

  • 吉沢悠
■吉沢悠
1978年8月30日生まれ、東京都出身。98年に『青の時代』(TBS系)でドラマデビュー。以降、03年に『動物のお医者さん』(テレビ朝日系)で主演を務めるなど数多くのドラマに出演。近年ドラマでは、『sister』(22・読売テレビ・日本テレビ系)、『イチケイのカラス スペシャル』(23・フジテレビ系)、『ギバーテイカー』(23・WOWOW)、『悪女について』(23・NHK BS4K)、『夫婦が壊れるとき』(23・日本テレビ)、『週末旅の極意〜夫婦ってそんな簡単じゃないもの〜』(23年・テレビ東京系)などに出演。