第73期ALSOK杯王将戦(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社、日本将棋連盟主催)は挑戦者決定リーグが進行中。10月24日(火)には渡辺明九段―永瀬拓矢九段の一戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、相掛かりの空中戦を106手で制した永瀬九段が開幕2連勝を飾りました。
混戦の王将リーグ
渡辺九段0勝2敗、永瀬九段1勝0敗で迎えた一局。前日の対局で羽生九段が敗れて2勝1敗となったため、永瀬九段はこれに勝てばリーグ唯一の全勝者となります。渡辺九段の先手番で始まった本局はスラスラと相掛かりに進展しました。
飛車先の歩交換ののちともに浮き飛車に構えて局面は空中戦に。どちらも3筋(7筋)の歩を突いていないのは十字飛車の要領で横歩取りを狙われるのを嫌ったもので、実戦はここから端桂を跳ね合う攻防に突入します。
渡辺九段の誤算
おたがいに桂をぶつけ合って4枚の桂すべてが当たりになる珍しい局面が出現。先に桂を取った渡辺九段は一転して第二次駒組みに移りますが、ここから永瀬九段の猛攻を見ることになります。1筋の端に手をつけたのが永瀬九段の機敏な仕掛けでした。
先攻を許した渡辺九段も反撃を試みますが、手を渡された局面で思うような反撃がなかったのが誤算でした。局後SNSを更新した渡辺九段は「62手目42分、69手目45分の長考でいい手が見つからなかったのですが、その前から形勢を損ねていたんですね」と振り返ります。
永瀬九段が快勝
優位に立った永瀬九段は小駒を駆使してリードを拡大。渡辺九段の反撃を凌ぎつつ、先手玉に対して挟撃態勢を築きました。終局時刻は18時40分、怒涛の攻めで渡辺玉を寄せきった永瀬九段が快勝で開幕2連勝を飾りました。
敗れた渡辺九段はこれで0勝3敗に。次回戦で永瀬九段は豊島将之九段と、渡辺九段は羽生九段との対戦が予定されています。
水留啓(将棋情報局)
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