東急不動産は10月19日より、代官山駅を出てすぐの好立地に賃貸住宅・シェアオフィス・商業施設が入る複合施設「Forestgate Daikanyama」(フォレストゲート代官山)を開業する。MAIN棟は、建築家・隈研吾氏によるデザイン設計。プレス内覧会では、隈氏らがコンセプトについて説明した。

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    「フォレストゲート代官山」

住戸のなかを覗いてきた

フォレストゲート代官山のコンセプトは「職・住・遊」の近接。MAIN棟は地上10階・地下2階建てで、隈研吾氏による木箱を積み上げたようなデザインが目を引く。敷地面積は約4,000平米、延床面積は約2万2,000平米。なお北側は八幡通り、代官山通りに面しており、敷地内は(住人でなくても)自由に通り抜けることができる。

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    東急電鉄東横線 代官山駅 中央口を出てすぐの好立地

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    建物のイメージ(東京都渋谷区代官山町20番23号)

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    住宅エントランスは、間伐材ルーバーからの木漏れ日×緑に包まれる空間

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    八幡通りに通り抜けできる。MAIN棟と、店舗・集会所として機能するTENOHA棟から構成される

地下1階、地上1階、2階の商業エリアには、米国オークランド発カフェチェーン「ブルーボトルコーヒー」、フレグランスブランド「ジョー マローン ロンドン」、高級食材スーパー「ザ・ガーデン自由が丘」、パレスホテルの新業態ブーランジュリー「エトヌンク」、代官山に本店を構えるパティスリー「シェ・リュイ」によるショコラトリー&グラッスリー「ラ・バーズ・ドゥ・ シェ・リュイ」などの人気店が名を連ねる。周辺環境も考慮して、代官山にふさわしいテナントを選んだという。全ての店舗が決まり、満床で開業の日を迎える。

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    開店準備を進める「Blue Bottle Coffee」

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    テナント一覧。代官山にふさわしいショップやレストランが入った

賃貸住宅は4階から10階にかけて57戸あり、家賃は月額50万円~400万円台。こちらも、すでに全ての住戸が契約の最終段階に進んでいる。部屋のタイプは、1LDK(約60~70平米)が28戸、2LDK(約110~140平米)が21戸、3LDK(約160~230平米)が5戸、メゾネット(約190~310平米)が3戸。ちなみに著名3氏がプロデュースした、心、食、緑をテーマにした「ライフスタイル提案住戸」も用意する。

いくつかの住戸を見学した。403号室は隈氏によるライフスタイル提案住戸で、壁も天井も布で覆われているユニークな寝室が特徴的。目指したのは自分自身の「心」と向き合う究極のOFF空間、との説明があった。

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    建築家・隈研吾氏がプロデュースした「半分くつろぎ半分整う家」

409号室はフードエッセイストの平野紗季子氏による、「食」をテーマにしたライフスタイル提案住戸。様々なハーブを育てることのできる広いバルコニー、大人が8人座っても余裕のある大きな食卓などを備え付け、食にこだわった暮らしをサポートする。

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    フードエッセイスト・平野紗季子氏がプロデュースした「All day Dining House」

515号室は造園家である齊藤太一氏によるライフスタイル提案住戸。Forestgateの森の中にある、静かで豊かな暮らしをイメージした。日常生活が自然と溶け合い、季節の変化や「緑」の成長と共に時間を過ごせる空間となっている。

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    造園家・齊藤太一氏がプロデュースした「森のすみか」

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    観葉植物が空間に優しさをもたらす

2フロア(9階と10階)を階段でつなぐメゾネットタイプの住戸も3戸を用意。リビング・ダイニング以外に5部屋あるという。どんな人が契約しているのか気になるところだ。

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    9階の部屋から。見晴らしが良い

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    階段で10階へ

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    気持ちの良いオープンキッチン

バルコニーに出ると、屋上に続く階段があった。

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    バルコニーおよび西側の眺め

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    こちらが屋上スペース

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    北側の眺め

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    東側の眺め

このほかMAIN棟の3階では、東急不動産が提案する会員制シェアオフィス「ビジネスエアポート代官山」が10月19日より開業する。個人でも複数名でも利用できる29室のサービスオフィスのほか、充実したラウンジ、イベントスペースを用意。関係者は「代官山に根差すポジティブでゆったりとした雰囲気のなかで、ビジネスのフェーズにあわせたサービスを利用できます」と話す。

「広域渋谷圏」の魅力を拡大

東急グループでは渋谷駅の半径2.5km圏内のエリアにおいて、社会価値の提供により「働く」「暮らす」「遊ぶ」が融合した持続性のある街づくりを目指している。この"Greater SHIBUYA 2.0"戦略では、4つのプロジェクトを推進中。その1つがフォレストゲート代官山(代官山エリア)となる。

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    「広域渋谷圏」(Greater SHIBUYA)における街づくり

東急不動産の黒川泰宏氏は「国際的な都市間競争が激しさを増す現代において、東急不動産では"広域渋谷圏"が持つ魅力をさらに伸ばしていきます。今後は施設の開発だけでなく、広域渋谷圏内の施設・エリア同士を連携させる取り組みにも注力していきます」と説明。今年(2023年)5月にスタートした、「創造」「発信」「集積」を循環させる新たな取り組みPROJECT LIFE LAND SHIBUYAをさらに充実させていく、と意気込む。

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    東急不動産 都市事業ユニット 渋谷開発本部 執行役員本部長の黒川泰宏氏

代官山については「日々発展を続ける渋谷、恵比寿、目黒が徒歩圏内にありながら、賑わいと落ち着きがバランスよく共存する街」とし、この街の独自の価値観を高めていきたいと説明。フォレストゲート代官山の展開に期待を寄せる。

このあと、住戸のデザインにも関わった3氏が登壇。隈氏は自らが手がけたMAIN棟について「コンセプトは洞窟なんですよ。というのも、穴が空いていて駅から八幡通りに通り抜けられるでしょう」と切り出す。

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    建築家の隈研吾氏

「そもそも東横線自体が洞窟っぽいじゃないですか。洞窟って、なんか別の世界に入る、みたいなワクワク感があるんですよね。もともと、結界を通って街に入るという感じが出たら良いな、という思いもありました」と隈氏。ここに、建物全体を樹木のように演出するプランが加わった、と説明する。

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    MAIN棟の外観は、まるで1本の樹木のよう

続いて造園家の齊藤氏は、フォレストゲート代官山内に約400種類の植物を植樹したと明かす。「代官山は多様な街。昔から住んでいる人から新進気鋭のクリエイターまで、様々な人が暮らしています。そこで、森をつくることで多様性を表現しました。植生に適した在来種を中心とした高木を配置しながら、形に特徴のある低木類も組み合わせています」。これは東急不動産グループの掲げるWE ARE GREENのコンセプトにも合致すると説明した。

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    住戸、広場、中庭など、敷地内の至る所に緑が存在する

そしてフードエッセイストの平野紗季子氏は、子どもの頃に家族で代官山に引っ越してきたときに食の好奇心が開花した、それが後の人生にも大きく影響した、というエピソードを披露。ライフスタイル提案住戸に込めた思いについては「ハーブのディル(イノンド)が好きなんです。『自分だったらどんな家に住みたいか』を考えたとき、ディルを育てられる家に住みたい、と切実に思いました。とても広いベランダ、代官山の抜けの良い青空、そこにたくさんの種類のハーブを育てられるプランターがある」と理想を語る。

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    造園家・グリーンディレクター・DAISHIZEN代表取締役の齊藤太一氏(左)と、フードエッセイスト・フードディレクターの平野紗季子氏(右)

このほか東急不動産ではイートクリエーターと共同設立した「日本食品総合研究所」をフォレストゲート代官山内に開設。次世代に向けた、新しい食文化づくりに挑戦するプラットフォームにしていくそうだ。