伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟)は、9月21日(木)に予選の計3局が行われました。このうち第5ブロックの谷川浩司十七世名人―出口若武六段戦は関西将棋会館で指され、谷川十七世名人が90手で勝利。予選突破まであと3勝としました。

力戦形の雁木

振り駒で後手となった谷川十七世名人は早々に角道を止めて雁木模様。対して先手の出口六段は舟囲いの要領で玉を囲ったのち、3筋で歩をぶつけてただちに速攻を仕掛けました。右銀を盤面中央から繰り出す手を含みにしたこの仕掛けはやや珍しく、谷川十七世名人も慎重に時間を使って対策を考慮します。

駆け引きののち局面は落ち着きを取り戻し第二次駒組みへ。5筋に腰掛けた後手の銀に対して出口六段は何気なく歩を突いてこれを追い返しますが、局後「弱気でしたかね」と振り返ることに。形勢は難解ながら、手順に銀をぶつけて攻撃を続けた谷川十七世名人がペースをつかんで局面は終盤戦に突入します。

鬼手をかわして谷川十七世名人勝利

反撃を目指したい先手の出口六段は後手の攻勢が一段落したスキを突いて狙いすました一手を放ちますが、結果的にこれが敗着に。後手陣深くタダのところに打たれた銀は取ってもらえれば後手玉を危険地帯におびき出す好手になりますが、冷静に金を引かれてみると思うような継続手がないのが誤算でした。

攻め続けるほかない出口六段は手にした飛車を打ち込んで迫りますが、谷川十七世名人は冷静に一手勝ちを読み切っていました。終局時刻は17時11分、最後は自玉の受けなしを認めた出口六段が投了。感想戦で谷川十七世名人は「結果的に(出口六段の鬼手を)見えていなかったのが幸いした」と振り返りました。

勝った谷川十七世名人は次回戦で山崎隆之八段と対戦します。

  • 谷川浩司十七世名人は今年度8勝4敗と白星先行(未放映のテレビ対局除く)

    谷川浩司十七世名人は今年度8勝4敗と白星先行(未放映のテレビ対局除く)

水留 啓(将棋情報局)