京都鉄道博物館は16日、本館2階の企画展示室で始まった貨物鉄道輸送150年記念企画展「モノを運ぶ鉄道展 ~列車が乗せるのは人だけじゃない。~」の報道公開を実施した。11月26日まで開催され、期間中にさまざまな関連イベントも予定している。
「モノを運ぶ鉄道展 ~列車が乗せるのは人だけじゃない。~」は、日本の鉄道が開業した翌年の1873(明治6)年9月15日、旅客と同じ新橋~横浜(現・桜木町)間で最初の貨物鉄道輸送が行われてから、今年で150周年を迎えたことを記念し、JR貨物による協力の下、開催される。
本館2階企画展示室では、大きく4コーナーに分けて、150年に及ぶ貨物鉄道輸送の歴史を振り返る。最初のコーナーは「貨物鉄道輸送のあゆみ」と題し、明治以来の貨物輸送を錦絵や各種銘板などの関連資料を使って解説している。錦絵「東京名所之内新橋ステンション蒸汽車鉄道図」では、新橋から横浜へ荷物を運ぶ様子が描かれた。昭和初期になると、個人向けの荷物輸送サービス「宅扱」が積極的に展開され、梅小路駅(貨物駅)でも「宅扱」を告知するパンフレットが制作された。
続いて、現在の大阪駅北側に存在した梅田駅(貨物駅)を中心に、関西の貨物鉄道輸送について振り返る。梅田駅は1928(昭和3)年に開業。戦後、梅田駅はコンテナ列車専用ホームが設けられるなど順調に成長し、長年にわたって関西の物流を支えた。2013(平成25)年3月、吹田貨物ターミナル駅の開業にともない、梅田駅は138年の歴史に幕を閉じた。
ところで、貨物輸送の増加を受けて、旅客駅と貨物駅を分ける「貨客分離」が進められた際、混乱を避けるため、貨物駅には旅客駅と別の駅名が付けられた。大阪駅の北側にあった梅田駅も、この例に従っている。
3つ目のコーナーは、ヘッドマークを通じて、おもにJR貨物の歴史をたどる。数々のヘッドマークを展示していたが、中でも最高速度110km/hで走破するコンテナ特急「スーパーライナー」のヘッドマークが目立った。2011(平成23)年に発生した東日本大震災の復興を願って製作されたヘッドマークもあり、災害からの復興に貨物鉄道輸送は不可欠な存在だと感じられる。最後の映像コーナーは吹田貨物ターミナル駅を紹介する動画が流れる。
企画展の関連イベントとして、本館2階のレストランにて、11月26日まで「貨物鉄道輸送150年記念プレート」が1日30食限定で提供される。国鉄6000形貨車と19D形コンテナをモチーフに、抹茶ケーキとぶどうゼリーを1枚のプレートにしたメニューとなっており、抹茶ケーキはさわやかな甘さ、ぶどうゼリーは少しビターな大人の味を堪能できる。
10月22日に「京都鉄博×京都貨物駅見学」も開催予定。企画展を学芸員が解説した後、京都貨物駅(京都鉄道博物館に隣接するJR貨物の駅)で見学会と特別講義が行われる。中学生以上を参加対象としており、参加希望者は入館券の他に、電子チケット「アソビュー!」から見学チケットを購入する必要がある。見学チケットは300円で、30枚限定。販売期間は10月5日16時30分から10月20日16時30分までとのこと。