静岡県熱海市上多賀に根差す統合型リゾート「ACAO SPA & RESORT」、LAETOLIが運営する、不動産投資クラウドファンディングサービス「COZUCHI」、芸術活動支援や地域再生の活動などを行う「東方文化支援財団」の3社は9月7日、熱海の地方創生に向けた新たなプロジェクトを発表。

同日、「熱海の地方創生プロジェクト」3社合同発表会が行われ、プロジェクト発足の経緯や今後の展望について紹介された。

  • ACAO SPA & RESORT × COZUCHI × 東方文化支援財団「熱海の地方創生プロジェクト」を発表

■熱海の地域活性化を促進

同プロジェクトは、熱海で眠る土地や建物など“未”流動資産の現金化と、その資金で熱海の地域活性化を促進するスキームの構築を目指すというもの。第1弾プロジェクトとして、不動産投資クラウドファンディング「熱海 ACAO FOREST Parking プロジェクト」ファンドをCOZUCHIのサービスサイトでリリースし、約5.4億円の資金調達を行う。

冒頭、東方文化支援財団 代表理事 兼 ACAO SPA & RESORT 代表取締役CEO 中野 善壽氏が登壇。東方文化支援財団では、現代アートをテーマに、地方再生や東方文化圏の若手アーティストの支援などを行っている。また、ACAO SPA & RESORTは、ACAO FORESTやACAO BEACHなど、リゾート事業と65万㎡の土地を最大限に生かした不動産事業に取り組む、静岡県熱海市上多賀に根差す統合型リゾート。

今回のプロジェクトについて「遊びに来て帰るだけの観光型の創生はやりたくないんです。その地域にしっかり根付き、長く続いていくような文化など、何かが継続していけるような創生をやるべきだと思っています。それを達成するには、熱海が最高の環境に恵まれている」と中野氏。

  • 東方文化支援財団 代表理事 兼 ACAO SPA & RESORT 代表取締役CEO 中野 善壽氏

「目的や場所、クラウドファンディングという仕組みによって、新しい創生のやり方がスタートできるのではないかと思い、LAETOLIの武藤さんに提案をしたのがきっかけです」とプロジェクト発足の経緯について説明した。

■不動産投資の機会を一般の方にも

続いて、LAETOLI 代表取締役 武藤 弥氏が登壇。同社は、不動産投資型のクラウドファンディングサービス「COZUCHI」を展開している。

武藤氏は「なかなか個人の方が、小口の資金で不動産に直接投資するというスキームが今までそれほどありませんでした。ここ数年、インターネットで資金を集めることができるようになり、我々も含めてそこに参加する業者が数社出てきました。徐々にですが、不動産クラウドファンディング領域が拡大しています。不動産投資の機会を一般の方にも開放していき、皆さんが気軽に参加できるようにしていきたい」とサービスにかける想いを話す。

  • LAETOLI 代表取締役 武藤 弥氏

「COZUCHI」は、サービス開始から2年で累計442億円の資金調達を達成。会員層としては、20~40代の一般企業に務めている人がほとんどで、会員数も増加しているという。「COZUCHI」では、築年数が古いもの、権利関係が複雑で問題解決をしないとなかなか流動性が持てないといった、金融機関が取り組みづらい案件を行うことで成立していると話す。 また、なかなか合意形成がとれない旧耐震基準の不動産において、クラウドファンディングで資金調達を行い、物件の一部を購入。地権者の方と建て替えを推進するなど、SDGsへの取り組みについても例を挙げた。

さらに「日光や箱根など地方案件も取り組んでいます。ここ3年のコロナの影響によって、リゾート地は価値が落ちてしまい、銀行もリゾート地にお金を貸しますといったことがありませんでした。こういった困っている方々から、我々は購入させていただいて、いま復活したタイミングでファンドに売却して利益を得るなど、時間軸でそのときの金融的なトレンドで流動できることが強みかなと思います」と武藤氏。

今回の最初のプロジェクトでは、「ACAO FOREST」の施設内にある有料駐車場を購入し、駐車場収入を配当原資としてファンド化する。

「中野さんが所有していると土地が、色々なコンテンツや資金流入させることによって価値があがっていけば、土地の価値も当然上がっていきます。中長期的に利益を獲得しながら、地方創生にも貢献していくことを考えています」と力を込めた。

■本プロジェクトをきっかけに新たなチャレンジも

発表会後半では、中野氏と武藤氏によるトークセッションが行われた。

武藤氏はCOZUCHIについて「金融機関が一般的に取り組みづらいを解決するのがひとつの強み」とあらためて説明。「地方銀行も、地元の融資はあまりせず、ほとんど東京の不動産にお金を貸している状況なんです。やはり地元に金融が流れていないことが、仮に良いアイディアだったり、いい物件だったりしても、活かされてない一つの理由かなと思っています。そこに我々が介入することで、チャレンジできるのが非常に面白いかなと思いますね」と話す。

  • トークセッション

中野氏は熱海での地方創生における、不動産投資クラウドファンディングがもたらす価値について「1万円あるいは5万円から、自分のお金を間接的に投資することによって、地方創生に対する意識が変わってくると思います」と話す。続けて、「関心を持ってもらわないと人は増えていかない。だからなるべく多くの人に関心をもってもらわないといけないのですが、本当にCOZUCHIさんのこの考え方は素晴らしい」と称賛した。

武藤氏は、「街に暮らす人が当事者意識をもって参加してるというのは理想的だと思います。今回5億円超の資金調達をクラウドファンディングするのですが、そこには多くの方々に投資をしていただきます。参加して、その街がよくなっていくことに意識や関心がもてる。ステークホルダーが増えることが、街の力になると思います」と話す。

今回のプロジェクトの目標について「熱海の地域創生から、地方と同じようなスケール感のある地方都市の創生に繋がっていくようなことをやりたい。100万人の街を創生ではなく、3万5000人の街を創生していく。そこに価値を作っていきたい」と中野氏。武藤氏は「このプロジェクトはきっかけでしかなくて、ACAOさんが所有している国道を跨いだ反対の海側の土地には、ハイエンドの分譲地を作っていく、またプールをリノベーションするといった計画もしています」と語った。