「アルファロメオ」といえばイタリアの伊達男だとか熱狂的なクルマ好きが選びそうなクルマだが、最近は販売店に女性客が増えているらしい。呼び水となっているのは、2023年1月に日本上陸を果たしたSUV「トナーレ」だ。今回はトナーレに新たに加わったプラグインハイブリッド(PHEV)の新モデルを取材し、このクルマがアルファロメオの販売に与えた影響を聞いてきた。
新規客を魅了する「トナーレ」
トナーレはアルファロメオの新型SUVだ。車名の由来はイタリア北部の「トナーレ峠」。数々の先進装備を盛り込んだブランド初の電動車であり、日本でも取り回しのしやすいサイズ感にも好感が持てる。日本では2023年1月にマイルドハイブリッド車(MHEV)が発売となり、このほどPHEVが入ってきた。
アルファロメオはコアなファンの付いた自動車ブランドだが、「ジュリア」と「ステルヴィオ」というラインアップだと少しサイズ的に大きいこともあり、日本では販売台数を落としていたそうだ。それがトナーレ導入により潮目が変わったという。
ステランティスジャパンでアルファロメオを見ている商品担当者によると、2023年1月のトナーレ導入、同年2月のデビューフェア実施により、アルファロメオ販売店の来店者数は「瞬間風速ではあるものの」4倍に増えたとのこと。こうした伸び率はプレミアムブランドでは珍しいそうだ。既存のアルファロメオファンに加え、トナーレが「どんなクルマなのかと興味を持って」来店する新規客が多かったのも特徴的な動きなのだという。
トナーレ購入者のうちアルファロメオからの乗り換えは全体の38%だった。多いのは「ジュリエッタ」からの乗り換えだ。ジュリエッタから乗り換えるにはジュリアもステルヴィオも大きすぎたきらいがあったが、そういう意味でトナーレはサイズ的にジャストフィットだったのかもしれない。
トナーレはアルファロメオが「苦手としていた女性客や若いファミリー層にフィットする」というのが前出の担当者の見立て。2022年のアルファロメオ購入者の女性比率は低かったそうだが、トナーレ導入後は2.4倍に急増したという。具体的な数字は分からないし、もともとが低すぎただけなのかもしれないが、この伸び率はけっこうスゴいのではないかという気がする。「コンパクトなサイズ感、乗りやすさ、デザイン、カラー」が女性客に受けているのではというのが担当者の分析だ。