立川市を拠点とする立飛ホールディングスとNTT東日本グループが過去2回開催してきた「立川立飛 地域交流eスポーツカップ」に続き、今年は立川商工会議所が仲間に加わり3者共同で「地域交流eスポーツまつり」を開催。6月26日に行われた予選会を勝ち残った32チームが、7月19日に決勝トーナメントに参加するために集結した。大盛況となった今シーズンの「地域交流eスポーツまつり」の様子をお届けしよう。
立川商工会議所創立70周年記念を兼ねたイベント
立川市の立川ビジネスセンタービルにある立川商工会議所内に設置されたスペースが「地域交流eスポーツまつり2023」の舞台。6月26日、97チームによる予選が行われ、7月19日の決勝には勝ち上がった28チームとシード企業の4チーム、合計32チームが参加。トーナメント形式で優勝を争うことになった。
今年の主催となった立川商工会議所は今年度で創立70周年を迎えている。立川市を盛り上げてきた数多の企業を親身になって見守り続けてきた商工会議所だけに、記念すべき年度に数多の企業が集まって競い合うeスポーツ大会の主催を務めるというのは感慨深い。
開催にあたって壇上に立った副会頭の岩﨑 春伸氏は「ここに集まった企業のみなさまは厳しい予選を勝ち上がってきたと伺っています。チームワークの良さをそのままに本日はがんばっていただきたいと思います。また、若い選手が多いですが、これを機会に商工会議所という存在に少しでも触れていただけるとうれしいですね」と述べた。
ここで競われるゲームはブロスタ。ゲームモードはエメラルドハントでおこなわれ、準決勝までは1勝を挙げたチームが勝ち上がり、決勝は2本先取したほうが勝ちという形式で勝敗を決めることになった。
大会を盛り上げるのは自身もプロゲーマーであり、毎年司会を務めている馬人氏、解説はブロスタを得意とする人気ストリーマーYAPIMARU氏だ。
白熱のトーナメント戦
初戦はすべてのチームによる総当たり戦。会場に設置された各席ではさっそく白熱の試合がおこなわれ、ガッツポーズを掲げるチームもいれば、苦笑いで肩を落とすチームもいる悲喜こもごもの様相の中、空気が熱を帯びていく。
2回戦、3回戦と進むごとにチームは絞られていき、準々決勝からは、すべての試合が会場前方に設置されたスクリーンに投影されるリアルイベントとなった。
ブロスタはキャラクターの特長に合わせた個人技と、それを最大限に活かした戦略がなければ勝つことは難しいが、ここまで勝ち上がってきたチームはまさに猛者の様相でそれぞれが戦略性を持って攻め続ける。
画面を見ているオーディエンスも一体となり、好プレイはもちろん、惜しくもチャレンジに失敗したプレイにも拍手を送る好試合が続く。解説のYAPIMARU氏も「きちんとみんな戦略を持って戦っている」と絶賛するほどレベルの高い戦いが繰り広げられる中、いよいよチームが絞られてきた。
気になる最終決戦は?
決勝に勝ち上がったのは、激戦を生き残った熱血の立川プリモティックFC(立川アスレティックFC)とディフェンディングチャンピオンのTCK Gaming(立川徽章)を破ったダイヤモンドダスト(立飛ホールディングス)という組み合わせになった。
試合前に意気込みを聞かれた立川プリモティックFC 皆本氏は自身のフットサルチームのスポンサーが立飛ホールディングスであることに触れ「私たちはスポーツチームとして空気を読まずに勝たせていただきます!」と高らかに宣言。受けて立つダイヤモンドダストの藤原氏も「優勝しか見えていません!」と一歩もゆずらず決勝戦へとなだれこんだ。
会場はこのやり取りに大いに盛り上がる中、試合開始。両者、フィールドの幅を目いっぱいに活かしたダイナミックな戦略をとり、お互いにスキを伺う恰好となる。少しずつバランスが崩れる中、地形を活かして逃げ切った立川プリモティックFCが1本目の試合を奪取し、会場の熱気は最高潮に達した。
インターバルの間も作戦を再確認する選手たちを待っていたかのように2回目の試合が開始された。熱い攻防が続いていたが、中央をめぐる勢力争いを制した立川プリモティックFCがうまさを見せ、カウントダウンを開始。ダイヤモンドダストも諦めずに善戦するがカウントゼロとなり、そのまま2本先取を達成。立川プリモティックFCが見事優勝を勝ち取った。
大会を終え、あいさつの壇上に立った会頭の川口 哲生氏は「これだけ盛り上がったのは私たちとしてもとてもうれしいことです。立川を新しい商品、新しいサービスを生み出せるわくわくできる街にしていきたいと思います」と若い世代に立川市をアピールした。
イベントを終えて
本イベントは、商工会議所の活動ビジョンにある「スポーツの持つ資源活用」を大きなテーマとして記念事業を実施する企画の一つとして行われた。
立川商工会議所 事業課の星野 智哉氏は「立川エリアでeスポーツを活用したプロジェクトを進めていることを知っていたため、我々から立飛ホールディングス様、NTT東日本グループ様へ声がけさせていただきました」と開催の背景を話す。
また、6月19日に実施された初心者向けの「事前練習会」、6月26日の「予選会」も好評だったという。
「事前練習会で参加を決めた方も多かったです。練習会で当たった企業同士が予選や本戦で再会することもあったようで、効果的だったと思います。予選会はリアルスポーツの要素を盛り込みましたが、とても好評で動き出しの固さをうまく解消してくれました。また、参加者アンケートでは95%以上の満足回答をいただけました。本戦はレベルも高く、一戦一戦が盛り上がりましたし、観戦者や応援者も多く、参加者同士交流の機会になったと思います」(星野氏)
さらに、今後については「引き続き、eスポーツを通じた異業種交流、特に若手社員層の交流機会を創出していきたいと思います」と語ってくれた。
大盛況で終えた「地域交流eスポーツまつり2023」。大会を盛り上げたすべての企業・組織にとって忘れられない夏になったはずだ。立川の熱い夏はこれからも続いていくと確信できるイベントだった。