日本で一番売れているクルマ「N-BOX」(エヌボックス)の新型と対面してきた。ぱっと見では大きく変わっていないように見える新型N-BOXだが、フルモデルチェンジで具体的にどこが変化/進化しているのか。現行型と比較しながら確認していきたい。
カスタムの横一文字ライトがカッコいい!
ホンダ「N-BOX」は背の高いボディに電動スライドドアを備える「スーパーハイトワゴン」というタイプの軽自動車だ。初代の発売は2011年12月、現行型は2017年9月に発売となった2世代目。累計販売台数は200万台を超えている。3世代目は2023年秋に発売予定で、8月に先行予約の受け付けが始まる。
今回は新型N-BOXの実機と対面し、コンセプトとデザインについて開発陣から話を聞くことができた。デザインが具体的にどう変わったのか、現行型と比較しながら見ていきたい。
新型には現行型と同様、ノーマルバージョンとカスタムの2種類のデザインがある。エクステリアデザイン担当のホンダ技術研究所 デザインセンター 小向貴大さんによれば、ノーマルは「シンプルで街になじむ、親しみやすいエクステリア」がテーマ。カスタムは「威圧感や力強さ」というよりも、「自分を高めるモノ」としての特別感を重視したという。
インテリアは個性的かつ先進的に
インテリアは見比べてみるとけっこう変わっている。新型はホンダの軽自動車では初採用となる7インチTFT液晶メーターにより先進的な雰囲気に。メーターの位置はインホイールとなり、運転席からの視界がすっきりした。
変えるか維持するか…売れ筋モデルのデザインは大変!
売れているクルマのモデルチェンジでデザインを担当するのは大変そうだ。お客さんは見た目を気に入って買っているのだろうから、大幅なイメチェンを図ったら不平が出そうだし、かといって何もしなければ「変わっていないじゃないか」と指摘されそうだからだ。そのあたりについては小向さんも「めちゃくちゃ大変でしたね」と振り返っていた。
新型N-BOXではボディの厚みとキャビンの薄さのバランスを大切にしたそう。ミニバンのボディとガラスの比率も参考にしながらデザインを進めたという。ボディに厚みがあると守られ感が感じられるとのことで、キャビン(ガラス面)を大きくし過ぎるとバランスが悪くなってしまうそうだ。
N-BOXらしさを踏襲しつつ、その「らしさ」をより強調するため、ショルダーラインをシンプルなフラットサーフェスとし、ルーフから下端まで一体感のある「大きな塊」としての見せ方を追求したと小向さん。カスタムの顔ではオラオラ感、ギラギラ感を追求せず、メッキは「おしゃれなアクセント」として使ったそうだ。やんちゃ系の顔が受ける(売れる)イメージがあるが、小向さんとしては「お客様のマインドの変化を感じ取って」カスタムの顔を決めたとのこと。N-BOXの販売比率はカスタムが6割、ノーマルが4割だそうなので、新型カスタムの顔つきが受けるかどうかは販売台数にも大きな影響を与えそうだ。