朝倉未来(トライフォース赤坂)が負けた─。7月30日、さいたまスーパーアリーナ『超RIZIN.2』でのフェザー級王座決定戦、アゼルバイジャンからの刺客ヴガール・ケラモフにリアネイキッドチョーク(裸絞め)を決められタップを余儀なくされたのだ。
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ケラモフに片足タックルを仕掛けられた朝倉未来。この後にテイクダウンを許してしまった(写真：RIZIN FF)
2度目の王座挑戦も朝倉は戴冠ならず。ケラモフが第4代王者となりチャンピオンベルトが海外に流出する事態に。朝倉の今後はどうなる? そして新王者ケラモフの初防衛戦の相手は?
■僅か161秒の惨劇
緊迫感を漂わせる睨み合いの後、ケラモフが瞬時に距離を詰める。そして得意の片足タックル。倒されまいと対処を試みる朝倉だったが、ケラモフの攻撃は執拗でテイクダウンを許してしまった。
こんなにもアッサリと背中をマットにつけさせられた朝倉を初めて見た。
マウントポジションを得たケラモフは、顔面に右ヒジを落としていく。朝倉は必死に起き上がろうとしロープに背中をつけるもケラモフの密着から逃れることができない。その体勢から首に腕を巻かれチョークを許してしまった。
朝倉の顔が、見るみるうちに赤く染まっていく。場内が騒然とする中、「路上の伝説」がタップをして試合は終わった。
僅か161秒の惨劇─。
この日、会場に集まった大観衆(2万4264人/主催者発表)のほとんどが朝倉の勝利を期待していた。だが、待っていたのは厳しい現実。この勝敗は展開の綾などではない。両者の間にファイターとしての実力差が存在していた。
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マウントポジションを得てパウンドに持ち込むケラモフ。朝倉も必死に抵抗したが…(写真：RIZIN FF)
■あるか? 朝倉未来vs.平本蓮
「いまは何も考えられない」
試合後に朝倉は、落胆した表情でそう話した。
ケラモフを破って、大晦日のリングでクレベル・コイケ(ブラジル/ボンサイ柔術)と対戦、そこでリベンジを果たす。それが朝倉の格闘技に取り組むモチベーションだったが、プランは崩れてしまった。
(朝倉は引退してしまうのではないか)
そんな思いを抱いたファンも少なからずいたはず。だが、それはなさそうだ。
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敗戦後、インタビュースペースでメディアからの質問に答える朝倉。「何もない、言葉がない」と茫然とした表情で話していた(写真：藤村ノゾミ)
試合翌日にアップされた自身のYouTubeチャンネルで、朝倉は次のように話していた。
「いまは気持ちの整理がついていないからハッキリとは言えないけど、多分やり返しに行きますよ。ここで終わるわけにはいかないでしょ。気持ちはそっち(現役続行)にだいぶ傾いている」
おそらく秋前に朝倉は動き出す、新たな目標を掲げて。それは、さらにハードルを上げてのチャレンジとなる。
新たな目標とは「クレベル、ケラモフの両方を倒す」ことにほかならない。今年から来年にかけてRIZINのリングで実績を積み、一度敗れている二人と闘うチャンスを掴みにいくことになろう。
ならば、その過程で平本蓮(剛毅會)との対峙もあるのかもしれない。
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『超RIZIN.2』はBELLATORパートがケージ(金網)、RIZINパートはリングで行われている。BELLATORパート終了後にケージは天井に釣り上げられ、その直後にリングが設営された(写真：藤村ノゾミ)
■11・4バクーで初防衛戦も
RIZINフェザー級新王者となったケラモフの初防衛戦の相手が誰になるのかにも注目が集まる。
次戦は大晦日か?
どうやら、そうではない模様。
『超RIZIN.2』のハーフタイムにビッグな発表がなされている。
11月4日、アゼルバイジャンの首都バクーで『RIZIN LANDMARK』開催─。RIZIN初の海外進出である。となれば、この大会でケラモフの王座初防衛戦が行われる可能性が高い。
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試合後、リング上で腰にベルトを巻き喜びを語る新王者ケラモフ。この模様は母国アゼルバイジャンにも放映された(写真：RIZIN FF)
相手は誰か?
真っ先に思い浮かぶのはクレベル・コイケ。
6月に減量ミスの失態はあったが、実力的には申し分ない。だが、ここでのクレベルの挑戦はなさそうだ。
『超RIZIN.2』終了後に榊原信行CEOは言った。
「クレベルは(王座挑戦の前に)1試合挟みます」と。
計量失格でタイトルマッチを壊したペナルティは必要、との考えからだろう。
となれば、残されたマッチメイクは一つしかない。
「ケラモフvs.斎藤裕(パラエストラ柏)」である。
斎藤は4・29代々木『RIZIN LANDMARK5』で平本蓮に勝利し再起戦を飾った。さらに2年前の6月、東京ドーム『RIZIN.28』で王者時代にケラモフと闘い2-1のスプリットデシジョンながら判定勝利を収めている。
ケラモフは斎藤との再戦を求めており、「母国でのリベンジ」ストーリーが出来上がる。また、王座奪回を期す斎藤にとっても願ってもないチャンスだ。11・４バクー決戦のメインはこのカードで決まりではないか。
熱を帯び続けるRIZINフェザー級戦線、年末、来年に向けてさらに面白くなりそうだ。
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文/近藤隆夫
