■女優転身丸5年「自分を一旦褒めてあげたい」
――冷静なコメントありがとうございます!(笑) 工藤さんは、女優として本格的な活動を始めて丸5年になりますが、どんな5年間でしたか。そして、率直に現在地をどう捉えていますか。
怒涛の5年間で、今まで経験した5年間の中で一番早かった気がします。今こうして映像を中心にお仕事をさせていただけていることが何よりうれしいですし、今回のように、メインキャストの1人として連ドラに出演させていただけるようになるまでもっと時間がかかると思っていました。5年でここまで来られた自分を一旦褒めてあげて、さらに高みを目指して頑張りたいです。
――ここまで来られた理由をどう考えていますか。
出演させていただいた作品で、アドバイスをくれたり、一緒に悩んでくれたり、手を差し伸べてくれる方が想像以上にたくさんいらっしゃったというのが、今私がここまで来られた理由のすべてです。すべては“出会い”。監督や共演者の方、本当に人に恵まれた5年間でした。
■オーディション落選など悩み重なった時期も
――5年間の中で一番大変だったことは。
1年半くらい前に「あと一歩抜け出さなきゃダメだな」と大きな壁にぶつかったことです。ある程度経験を積んで、自分なりにノウハウが蓄積されてきた中で、ここで1つ殻を破らないと、もう女優としてこれ以上はないなと気付きました。その時期は本当にしんどかったです。ありがたいことにお仕事はいただけていたのですが、「今のお芝居で良かったのかな」と自分の中で迷いが生まれたり、最初は映画に出演させていただくことが多かったので、ドラマの現場のスピードについていけなかったり、参加したかった作品のオーディションに落ちたりと悩みが重なって。いろんなことがうまくいかなくて、ダメだなって精神的に参っていました。
――そんなつらい時期があったんですね。その状況を変えてくれたのは何だったんでしょうか。
先ほどもお話に出た『ロマンス暴風域』です。そのときの私は少し自暴自棄になっていたかもしれませんが……。センシティブな要素も多い作品に思い切り体当たりしに来た私を、皆さんが上手にコントロールして、いいところを吸い上げてくれました。全5話で短かったですし、私の出演シーンもその半分くらいでしたが、大きな反響をいただけて、たくさんの方にせりかという役を印象づけることができて、あのタイミングだったからこそだと思います。私にとって大きなターニングポイントになりました。その経験から、自分が作ってきた枠からはみ出すお芝居が怖くなくなって、1つ前に進めたというか、一気に息が吸いやすくなったんです。
■先輩・後輩への思いが原動力に
――『ロマンス暴風域』はとても大きな経験だったんですね。先程話に出ましたが、工藤さんは今でもオーディションを受けられたりするんですか。
受けています。テレビや映画の映像を中心に、長く女優を続けている先輩についていけるよう頑張りたいと……。
――その代表格といえば真野恵里菜さんでしょうか。
正にそうです! 誰に何を言われたわけでもなく自分が勝手に思っているだけなんですけど、真野さんが海外で生活されている今、私ももっと頑張らなきゃいけないな、と。真野さんが私のことをずっと気にして、声をかけ続けてくださる分、結果を残したいですし、この先私を見て役者を目指したいと思ってくれる後輩たちがいてくれたらうれしい。そんな気持ちが女優業の原動力になっている気がします。
――真野さんはどんな声をかけてくれるんですか。
海外で生活していて時差もあるのに、作品をチェックしてくださって、少し後になっても「あの作品、良かったよ」と言ってくださるんです。経験者だからこそできるアドバイスをいつもくださって、本当に感謝しています。日本に一時帰国されたときにも、会ってお芝居の話をしたり、プライベートな話をしたり、ずっと気にかけてくださっている先輩なので、とにかく結果で恩返したいです。本当に、私が勝手にそう思っているだけなんですけどね。
――素敵な目標を教えてくださりありがとうございます。では最後に、『アラクオ』の見どころをお願いします。
20代半ばに差し掛かって、経験を積んだからこそ恋愛に仕事にさまよって、少しずつ道を踏み外してしまう5人の若者たちの群像劇です。誰かに共感できると思いますし、自分って他人からこう見えているのかもしれないと見つめ直す機会になるかもしれません。世代が上の方には懐かしんでいただくもよし、同世代の方には反面教師にしていただくもよし、いろんな楽しみ方をしていただけたらうれしいです。
1999年10月27日生まれ、埼玉県出身。2018年より女優として本格的な活動開始。2020年には映画『のぼる小寺さん』で初主演を飾り、その後、『461個のおべんとう』(2020)、『樹海村』(2021)、ドラマ『あせとせっけん』『ロマンス暴風域』(2022)などに出演した。2023年は、映画『君は放課後インソムニア』、『逃げきれた夢』、ドラマ『ブラザー・トラップ』、『福岡恋愛白書18「春のおとなりさん」』、『特捜9 season6』、『テイオーの長い休日』に出演し、現在放送中のドラマ『なれの果ての僕ら』(テレビ東京)に出演中。公開待機作に映画『仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐』(7月28日公開予定)がある。
■ヘアメイク:関東沙織/スタイリスト:椎名倉平