■“演じる”楽しさを再認識できた写真集「やっぱり私はお芝居が好き」

――――まさに1本の映画のような重厚なストーリーだったんですね。

本当に驚きました。私は「こういう感じで~」「あの役の感じで~」みたいなものを想定していたんですが(笑)。内容としては『アーク arc』のときに演じたリナの現在が描かれています。普段のお芝居は映像ですけど、今回はそれを写真で切り取ってもらって、それがすごい楽しかった! 写真集を通して、やっぱり私はお芝居が好きだなと、改めて感じることができました。

――普段とは違った切り口で演じてみて、よりお芝居の魅力に気づけたと。先ほどのお話にも出ましたが、親しい方へのアンケートの中で、おもしろかった答えや意外だったことはありましたか?

みんな答えが違うんですよ! 例えば「芳根京子で連想する色は?」と聞いてもバラバラ。そもそも、なぜこの4人にアンケートをお願いしたかというと、母親は「素の芳根京子」、高校の友人は「仕事を始めた当初の芳根京子」を知っている。一方で、玉井詩織ちゃんは「プライベートと仕事の芳根京子」の両方を知っている人で、石川さんが「撮影現場での芳根京子」を知っている人。4人とも違った私を知っているんです。

そんな4人が色だけでも答えが全然違うのは、私自身、どこの場所でも変えているつもりはないけど、それぞれ私から感じるものが違うんだなと思ったときに、「おもしろ!」と(笑)。

■この先の10年に向けた決意「ここまでの10年に負けたくない」

――デビュー10周年を迎えて、改めてこれまでの10年を振り返ってみていかがですか?

どちらかと言えば早かった。正直、このお仕事を始めた当時は、10年も続けているとは思っていなかったです。家族も「やめたいと思ったときにやめればいいよ」と言ってくれていたし、当時は学生だったから部活感覚で……。そこから大きな役をいただく中で、どんどん責任というものが大きくなってきて、大学に行かずにお仕事1本でがんばるという選択を取って、朝ドラが終わったくらいからは、あっと言う間でした。

――ちょうど20歳のころですね。やっぱり朝ドラヒロインの経験は大きかったですか?

朝ドラのヒロインって、これまで100人ちょっとしかいないわけで、すごく責任があると思うんです。オーディションで選んでもらった立場だったので、選んでくれた方々はこれからの期待もあって選んでくれたのかなと思うと、このお仕事をがんばることが勝手ながら恩返しかなと。

朝ドラ以降の6年間は“巡ってきたチャンスは自分のものにしなきゃ!” とすごく目の前のことに必死に過ごしてきた時間。それまでは、オーディションを受けて、受かったらお仕事がある。でも、オーディションじゃなくなった今のほうが、すごく責任が重くなった気がしています。私に声をかけてくれるということは、前に出演した作品を観てくださっているわけで、あの作品があるから、今の作品がある。ここで失敗したら、前の作品にも傷がつくかも……と思うと、ずっと繋がっている責任感みたいなものを感じますし、今の方が作品ごとにドキドキしています。

――これまでの10年を振り返っていただきましたが、最後にこれからの10年についてビジョンがあればお聞かせください。

デビューから約3年で朝ドラのヒロインをやらせてもらったんですが、そんな未来、全然考えてなかったです(笑)。自分がデビュー当時に想像していた未来よりもすごく充実した、たくさんの機会をいただけた10年だったので、正直この先の10年の想像が全くつかなくて。驚くことが多かった10年でしたが、これからの10年はここまでの10年に負けたくない。私自身、「もうすぐ20周年だね」って言っている36歳の自分が、どう思って、どういう決断をしているのか楽しみ。笑ってお芝居を続けられていたらいいなと思います。

■芳根京子
1997年2月28日生まれ、東京都出身。2013年にデビュー。2016年にはNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』でヒロインを演じた。以降、映画『累 -かさね-』(18)、『Arc アーク』(21)、ドラマ『それってパクリじゃないですか?』(日本テレビ)、『オールドルーキー』(22)など多くの作品に出演。2018年には、『累 -かさね-』『散り椿』で第42回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞した。現在、デビュー10周年記念写真集『京』(ワニブックス)が発売中。