発売になったばかりの新型「セレナ」が早くもキャンピングカー仕様で登場した。日産自動車の人気ミニバンであるセレナのキャンピングカーは、いかにも「キャンプキャンプしていない」ところがウリ? どんなクルマなのかじっくり観察してきた。
普段使いにもキャンプにも使える
セレナは新型で通算6世代目となる日産の人気車種。新型セレナはガソリンエンジン搭載車とe-POWER(ハイブリッド)搭載車の各タイプに「X」「XV」「ハイウェイスターV」の3グレードがあり、e-POWERのみで最上級グレード「ルキシオン」(LUXION)が選べる。ガソリン車は276.87~326.92万円、e-POWERは319.88~479.82万円だ。
日産ピースフィールドクラフトが「東京キャンピングカーショー2023」に展示していたのは「セレナ P-SV」という車両だ。「P-SV」は「ポップルーフ・スリーピングバージョン」という意味で、その名の通りルーフの上にポップアップ式のアッパールームが付いている。同社はセレナのキャンピングカーを手掛けてきた実績があるが、新型セレナで作って公開したのは今回が初めてだそうだ。
アッパールームは室内最大長2,250mm、室内最大高1,150mmと広々としており、ベッド長2,040mm、ベッド幅1,100mmの就寝スペースとして使える。オプションのアンダーベッド(8.8万円)を車内に取り付ければ、上下に2人ずつの計4人で就寝することが可能だ。P-SVのオプションは「走行充電式サブバッテリー」「ソーラー充電システム」「サイドオーニング」「マルチシェード」などいろいろと選べる。
セレナ P-SVにはガソリンエンジン車(2WDと4WD)とe-POWER搭載車がある。グレードは各タイプに「X」「XV」「ハイウェイスターV」の3タイプあって、車両本体価格(P-SV用を含めオプションを装備していない状態)は最も安いガソリン/2WDの「X」が365.97万円、最も高いe-POWERの「ハイウェイスターV」が457.71万円だ。セレナの最上級グレードであるルキシオンが選べないのは、このグレードにのみシャークフィンアンテナが付いていて、それを外してポップアップルーフを取り付けることが難しいためだそう。どうしてもルキシオンでキャンピングカー仕様を作りたいという人は、ポップアップルーフなしで作ってもらえるかもしれないので相談してみよう。
日産ピースフィールドクラフトの担当者に話を聞くと、セレナのキャンピングカー仕様は「普段使い」できるところが魅力であるとのこと。商用車をベースにしたキャンピングカーと比べれば、もともと乗用車として乗り心地や走りにこだわって作ってあるセレナは、通勤や買い物などキャンプ以外の用途で乗るときにも快適性は高いはずだ。それと、「いかにもキャンプキャンプしていない」見た目も特徴だと担当者は話していた。いかにもキャンピングカー然とした見た目のクルマを買うのは周囲の視線を考えるとはばかられるという人には、ポップアップルーフをしまえばそこまで特別感の出ないセレナ P-SVのようなクルマが合うのかもしれない。
東京キャンピングカーショー2023の会場で聞いていると、どの会社も納期が長期化する状況になっているようだ。そもそもベースとなるクルマの供給が滞っている場合もあるので、せっかくのキャンプブームなのに少し残念な状況ではある。セレナ P-SVについてはグレードやボディカラーにもよるが「6~8カ月くらい」とのことだった。