千葉県南房総市とNTT東日本 千葉事業部は、相互に連携し、さまざまな分野においてDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進することにより、すべての職員、市民にデジタル化の恩恵が行き渡るよう、DX推進に関する連携協定を締結した。
7月5日に行われた締結式には、南房総市長の石井裕氏とNTT東日本 執行役員 千葉事業部長の境麻千子氏が出席。今回の協定は、庁内業務の効率化だけにとどまらず、行政サービスにも求められるDX推進を、南房総市とNTT東日本が相互に連携して行うという。庁内業務の効率化や観光資源の活用、移住・定住の促進などの地域課題に対してICT技術を活用することによって、デジタル化による働き方改革ならびに地域の活力創出を行うものとなっている。
主な連携事項としては「DX人材育成に関すること」「庁内業務運営に関すること」「行政サービスに関すること」「防災活動・災害復旧活動に関すること」「地域課題解決に関すること」「その他、DX推進に関すること」の6つが挙げられ、それぞれの課題解決を、南房総市とNTT東日本の密接な相互連携と協働によって実現していく。
千葉県内の市町村とNTT東日本によるDX推進に関する連携協定は、6月30日に締結された長柄町に続くものとなる。今回の締結は、防災訓練などを通しての繋がりから始まっており、特に4年前の房総半島台風をきっかけに両者の関係が深まり、課題となっていたDX推進に関しても、昨年12月に勉強会を実施するなど密接な関係を構築。さらに具体的なテーマを進めるために、今回のDX推進に関する連携協定が締結されるに至った。
これまで、デジタル技術を業務に活かしていく取り組みを続けてきたという石井市長だが、今回の締結により「より専門的に、より客観的に業務を見ていただくことで、これまで以上に、DXを業務改革に繋げていきたい」と期待感を高め、「行政の業務改善のみならず、市民の皆様へのサービスの向上、さまざまな事業の課題解決に繋がれば」との展望を語った。
一方、これまでも地域密着を合言葉に、情報通信サービスの提供を中心にして「南房総市の皆様の暮らしをサポートさせていただくという気持ちで、地域活性化に寄与すべく様々な取り組みを進めてきた」という境氏は、「住民サービスのさらなる向上や業務効率化など、様々な面で協力できると思うので、これからの会話の中から課題を見つけて、一緒に実現していきたい」と、密接な連携によって取り組んでいく姿勢を示した。
今回の連携協定は広範囲の取り組みが期待されており、具体的には、庁内業務の効率化という課題解決に向けて、「子ども教育課」などの業務課題・フローの見える化を図るほか、ITリテラシーの勉強会やAR技術を用いた防災事業などへの取り組みが予定されているという。しかし、「あくまでもこれは取っ掛かり」であると石井市長は強調。「これらをきっかけとして、ひとつでも多くの業務、ひとつでも多くの課題を解決していきたい」と、これから始まる連携協定への意欲を見せた。