「収集」と「収拾」の違いをご存知でしょうか?

これらは同音異義語で、どちらも「しゅうしゅう」と読みます。 どちらも「収」の漢字が使われており、よく似た印象を受ける単語です。読み方も同じであるため、使い分けに悩まれる方も多いでしょう。

「収集」と「収拾」それぞれの言葉の意味と、2つの言葉をどのように使い分けるとよいのかを、例文を用いながら解説します。

「収集」と「収拾」の違いとは? 意味を解説

  • 「収集」と「収拾」の違いとは?

    「収集」と「収拾」の違いとは?

同音異義語である「収集」と「収拾」。

「収集」は簡単にいうと「ものを集めること」を指し、「収拾」は「ものを拾う」もしくは「事態を落ち着かせる」ということを指すので、意味に違いがあるのです。以下で詳しく見ていきましょう。

「収集」の意味

「収集(しゅうしゅう)」には大きく2つの意味があります。

1.あちらこちらに散らばった物を、一か所に寄せ集めること
2.趣味・研究などのために特定のものを集めること

「収集」は「ごみを収集する」や「データを収集する」のように使います。

また、趣味のものや研究に使うものを集める場合も「収集」を使います。趣味で切手を集めている場合は「切手を収集する」のように使います。

「収集」を構成する「収」と「集」の漢字の意味を見てみましょう。 「収」には「取りこむ」「おさめる」「取りまとめる」「ちぢむ」「とらえる」などの意味があります。 「集」には「あつまる」「あつめる」「つどう」などの意味があります。

「収拾」の意味

「収拾(しゅうしゅう)」にも大きく2つの意味があります。

1.混乱した物事を取りまとめること
2.拾い集めること

例えば「事態を収拾する」は、トラブルで混乱した状態をうまく収めることです。 また「落ち葉を収拾する」は、落ちている枯葉を拾い集めることです。

「収拾」を構成する「収」と「拾」の漢字の意味を見てみましょう。 「収」には「取りこむ」「おさめる」「取りまとめる」「ちぢむ」「とらえる」などの意味があります。 「拾」には「ひろう」「ひろい上げる」などの意味があります。

「収集」と「収拾」の使い方と例文

  • 「収集」と「収拾」の使い方と例文

    「収集」と「収拾」の使い方の解説と例文の紹介

「収集」と「収拾」はどのようなときに使用し、どのように使い分けるのでしょうか。 それぞれの言葉の使い方を解説し、例文を紹介します。

「収集」の例文

「ごみを収集する」「データを収集する」のように、「物を一か所に寄せ集める」場合に「収集」を使います。

<例文>

  • ごみの収集日をカレンダーに記入する
  • インターネットで情報を収集すると、必要な情報を早く集められます
  • 支店ごとの売上データを収集する

また「コインの収集」「サンプルを収集する」のように、「特定の物を集める」場合にも「収集」を使います。

<例文>

  • 彼の趣味は工芸品を収集することです
  • 彼女は切手の収集家です

「収拾」の例文

「事態を収拾する」「会議を収拾する」のように「混乱した状態を整理する」場合に「収拾」を使います。

<例文>

  • 事態を収拾するためのアイデアを出す
  • 会議は思いのほか紛糾したが、彼が会議を収拾した

また「落ち葉を収拾する」「ごみを収拾する」のように「物を拾い集める」場合にも「収拾」を使います。

<例文>

  • 会場に散乱したごみは、イベントの参加者達によって収拾された
  • 子どもが遊び終えたおもちゃを収拾する

「収集」と「収拾」の類義語・言い換え表現

  • 「収集」と「収拾」の類義語

    「収集」と「収拾」の類義語の紹介

ここでは、「収集」と「収拾」の類語・言い換え表現をそれぞれ紹介します。

「収集」の類義語・言い換え表現

「収集」の類義語は、「採集」「採取」「コレクション」などが挙げられます。

  • 「採集」

「採集」は「さいしゅう」と読みます。「採集」とは「研究・調査などのために生物・化石・鉱物などの自然物を採り集める」という意味です。 例えば「昆虫採集」のように使います。

  • 「採取」

「採取」は「さいしゅ」と読みます。「採取」とは「研究・調査・検査などの目的で、必要なものを選び取る」という意味です。 例えば「サンプル採取」「指紋の採取」のように使います。

  • 「コレクション」

「コレクション」とは「美術品・書籍など特定のものを趣味として集める、または集めたもの」という意味です。 例えば「彼の作品をコレクションする」「お気に入りのコレクションを見せる」のように使います。

「収拾」の類義語・言い換え表現

「収拾」の類義語として「対処」「対応」「片付く」などが挙げられます。

  • 「対処」

「対処」は「たいしょ」と読みます。「ある出来事や状況に応じて適当な処置をとる」という意味です。 例えば「非常事態に対処する」のように使います。

  • 「対応」

「対応」は「たいおう」と読みます。「相手や周囲の状況に応じて物事を行う」という意味です。例えば「相手の出方を見ながら対応する」のように使います。

  • 「片付く」

「片付く」は「かたづく」と読みます。「物事がきちんと解決される。決着・収まりがつく」という意味です。 例えば「仕事が片付く」「お金で片付く問題ではない」のように使います。

「収集」と「収拾」の違いを理解して正しく使おう

「収集」には「一か所に寄せ集めること」「特定のものを集めること」の意味があります。 一方「収拾」には「混乱した物事をうまく収めること」「拾い集めること」の意味があります。このように、2つの似た言葉ですが意味は異なるのです。

それぞれの言葉を状況に合わせて使い分けましょう。