三井住友信託銀行が設置している「三井住友トラスト・資産のミライ研究所」(以下、ミライ研)は、「住まいと資産形成に関する意識と実態調査(2023年)」6月13日に発表した。調査は、1月に金融、調査、マスコミ、広告従事者を除く20歳~69歳の11,114人を対象としたWEBアンケートにて実施されたもの。

  • 住宅ロ―ンの借入形態(単独ローン・ペアローン)

今回の調査結果では、住宅ローンを利用して自宅を購入した人(2,964人)のうち、全年代では単独ローン利用率が72.0%、ペアローン利用率は8.9%となった。

単独ローンが多数派であるものの、年代別に利用率をみてみると、20代・30代でのペアローン利用は約2割を占めており、全年代比率の2倍の水準だった。また、当初借入額では「単独ローン<ペアローン」の構図が鮮明になっており、20代・30代においては700万~900万円程度ペアローンの方が高額に。単独ローンと比較すると20代で138%、30代で127%の水準となっていた。

  • 住宅ロ―ンの当初借入額(中央値)—単独ローンとペアローンの比較

若い世代を中心に広く定着しているペアローンだが、その背景には共働き世帯の増加や、住宅費用を夫婦で「応分に負担しようという意識」と「負担できる環境」が進んでいるとミライ研は考察している。

  • 専業主婦世帯数と共働き世帯数の変化(1983~2022年)

総務省の統計データをみると、40年前(1983年)の共働き世帯数は専業主婦世帯数の約7割だったが、30年前(1993年)に初めて専業主婦世帯数を上回り、直近2022年では1,262万世帯と専業主婦世帯数の2.3倍に。「世帯における働き手の意識と環境の変化」がペアローン需要を支えていると同研究所は分析している。

一般的に、ペアローンは「共働き世帯」で利用されるが、20年、30年といった返済期間において「共働き状態」が継続することが前提。利点として、「借入額が大きくできることで物件の選択肢が広がる」、「住宅ローン控除の要件を満たした場合、それぞれの住宅ローンにおいて住宅ローン控除が適用できる」、「契約が別々となることから金利タイプ(固定・変動など)、返済方法(元利均等・元本均等など)、返済期間などを個別に選択できる」などが期待できるという。

その一方で、「子育て」や「転職」といったライフイベントの発生時にパートナーの収入が大きく減少する場合も。その際もローン返済を継続できるかどうかという点を、世帯の「ライフプラン」「キャリアプラン」の中で十分に検討しておくことが必要だと同調査では伝えている。