5月は震度4以上の地震が17回発生するなど、全国で地震が多発している。もしもの時に備え、必ずやっておきたいのが家庭の防災準備。今回は、ダスキンの家事代行サービス「メリーメイド」が発表した防災チェックシートと、プロがすすめる「防災お片付け」を紹介する。

■防災チェックシートで確認

防災対策が重要といっても、自分はどの程度できているのかわからない人も多いのではないだろうか。そこでメリーメイドは、防災アドバイザー&防災士の岡部梨恵子氏に話を聞き、「防災チェックシート」を作成。早速、いくつできているかチェックしてみよう。

  • 防災チェックシート

□冷蔵庫の中は片付いているか?
□非常用持ち出し袋を用意しているか?
□懐中電灯やホイッスル、ヘルメット、飲料水などすぐ取れる場所に備えているか?
□寝室が安全な場所になっているか?
□水、食料、生活用品の備蓄は家族分、1週間あるか?

次に防災の重要性は理解したものの、何から始めればいいかわからない人に、特におすすめの「防災お片付け」のポイントを紹介する。

①不用品を取り除く

いるモノ・いらないモノを整理し、不用品は取り除こう。その際は「モノとして使えるかどうかではなく、必要かどうかという基準」で考えることをすすめている。いざという時「非常用持出袋が取り出せない」「避難経路の確保ができない」といった事態に陥らないようにしよう。

岡部氏のワンポイント

1年で1回も使っていないものは、実は2年目も不要なことが多いです。使っていないものを片付けたら「命を守る備蓄」ができるようになります。

②モノの定位置を決めておく

収納時の定位置は、動線や使用頻度・出し入れのしやすさなどを考えて決めるといいそう。取りに行くまでの距離を短くできるよう「よく使う場所=最適な置き場所」を定位置にしよう。また、定位置は家族全員で共有しておくことで、もしもの時に必要なモノを各自探す手間が省けるとしている。

岡部氏のワンポイント

大人が留守の時、子供だけで被災した時、懐中電灯や非常持ち出し袋は取り出せるようにしておいてください。家族全員が入っている場所がわかり、素早く取り出せる所に置いておきましょう。

使用頻度を考えて置く位置・入れ方を決める

置き場所と同様に大切なのが「置く位置」。人間にとって最も使い勝手の良い位置は「立った状態で両手の届く範囲」とされる。使用頻度が高いモノはこの位置に置くようにしよう。

その次は「入れ方」。行動(アクション)の数が少なくなる入れ方を考えよう。一目で全部を確認でき、ゼロアクションですぐに取れるのが理想だが、使用頻度の少ないモノはスリーアクションまでとし、頻度が高いものはより少ないアクション数で取り出せるようにしてほしいとのこと。

岡部氏のワンポイント

防災グッズをすべて出しやすい所に置く必要はないです。被災後すぐに取り出したい、懐中電灯や非常持出袋などはすぐに出せる所に置いておく、あとの防災用品はどこにしまっているかをしっかり把握していれば、しまい込んでもOK。被災後安全確認して取り出せば問題ないです。
  • 使用頻度を考えて置く位置・入れ方を決める

③重いモノは下に、軽いモノは上に収納する

使用頻度の高いモノは取り出しやすい所に、頻度の低いモノは奥の方に収納しよう。また、重いモノは下に、軽いモノは上にしまうといい。整理整頓をすることで、モノが落ちた時の危険度を低減し、ケガのリスクを減らすことができるという。

岡部氏のワンポイント

家具を倒れにくくする大原則は、「重いモノは必ず下に入れる」ということです。家具全体の重心を下にすれば、家具は倒れにくくなります!
  • 重いモノは下に、軽いモノは上に収納する

④キッチンまわりのお片付け

キッチンの収納で一番に考えたいのは、使いやすさ。必要なモノだけ厳選し、よく使うものは手の届く範囲にしまい、すぐ取り出せるようにしよう。使う手順を考え、調理作業に合わせた調理器具や食器棚などを配置することから始めるといいそう。

例えば、ゴミ箱は流し台の近くに置き、置く場所がない場合は移動できるようにしておく。調味料はカゴに入れるなどまとめてガス台下に置くのが便利。また、水場で使用するモノは流し台近くに、加熱で使用するモノは加熱調理器近くに置くようすすめている(加熱調理器の周囲15cm以内には置かない)。

使用頻度の高いモノは使いやすく配置しよう。調味料・油類はそれぞれまとめてケースに入れておくと、使う時ケースごと移動できる。フライパン・土鍋・鍋蓋などは、書類ケースなどに立てて入れておこう。そして、戸棚の収納はカゴに入れてひき出すようにすると奥のモノを取り出しやすくなるという。

なお、キッチンにはガスコンロや包丁など多くの危険が潜んでおり、災害発生から2次被害が起こる可能性が高い。日頃から引火の可能性があるものや包丁の置き場所に注意してほしいとしている。

岡部氏のワンポイント

使ったあとの包丁をしまう、よく使う鍋やフライパンも出しっぱなしにしないで収納することで、地震時のケガのリスクを大きく減らせます。使ったモノは毎回しまうことを習慣化しましょう。

⑤キッチンの吊り戸棚のお片付け

キッチンの吊り戸棚は、下段は比較的手が届きやすいが、上段に行くほど手が届きにくくなる。使用頻度に応じて区別して収納しよう。

【下段へ優先的に収納】
・比較的使うモノ:弁当箱、水筒、保存容器など
・消耗品ストック:ラップ、ホイル、キッチンペーパーなどを在庫が見えるように収納する

【上段へ収納】
・あまり使わないモノ、軽いモノ
・季節のモノ

岡部氏のワンポイント

吊り戸棚、高い位置の収納に入っているモノは地震時扉が開いて飛び出してくるリスクがあります。「耐震ラッチ」「扉ロック」など取り付けることをおすすめします。