俳優の船越英一郎が29日、都内で行われた東海テレビ・フジテレビ系ドラマ『テイオーの長い休日』(6月3日スタート、毎週土曜23:40~ ※全8話)の制作発表会見に出席した。

  • 船越英一郎

船越演じる元“2時間サスペンスの帝王”熱護大五郎が、3人の子持ちのマネージャー・吉田ゆかり(戸田菜穂)とともに、人生のリベンジに奔走するヒューマンコメディの同ドラマ。戸田の夫役で出演し、会見の司会を担当する大橋彰(アキラ100%)に、「1年以上仕事がない崖っぷちの帝王というのを演じることに、ためらいはなかったでしょうか?」と聞かれると、船越は「ためらいしかございませんでした」と即答した。

続けて、「セルフパロディをやらせていただくっていうのは、こんなに役者にとって幸せなことはないんですけれども、同時にそれは暴挙とも言えますよね(笑)。でも、こんな使い古された俳優を皆さんがもう一度面白がって、こんなことをやらせてみたいというのは、言ってみれば制作の皆さんから受け取らせていただいたラブレターかなと思いまして。これはもう躊躇(ちゅうちょ)してる場合ではないということで、意を決して“荒海”に乗り出した“船”越英一郎でございます」と、今作の挑戦的な取り組みを表現した。

会場には、劇中の2時間ドラマのポスターがずらり。これらは一気に1時間で撮り終えたそうだが、船越は「何だかみんなどっかでやったような役ばっかりで(笑)」と苦笑い。「2時間ドラマをずっとご覧なっていだいた方たちには、懐かしいねというシーンも随所に出てきますし、今、2時間ドラマはCSとかBSで毎日やってますから、既視感があるものも出てきますので、そんなところも心待ちにしていただけたら冥利に尽きます」と力を込めた。

今回演じる熱護と自身は、「似ても似つかないけど、どっかで共通する部分があるんですね。全く違う環境で、違う育ち方をして、違う生き方を選んでいる双子みたいなのが熱護でございますから、彼の本当の根っこにあるポリシーや、俳優という仕事に懸ける思いは、日頃僕がポロポロっと話していることを、プロデューサーや監督や脚本家の方たちが拾い上げて、それを移植してくれているようなところがあるんです。だからとても共感できるセリフがいっぱいあります。一番共感できるのは『すべては視聴者に面白く見てもらうことが大事』。このセリフに尽きると思います」とのこと。

一方で、「逆もまたあるんです。特に1話で、熱護が自分の俳優の矜持を語るんですけど、それが僕が今まで歩んできた俳優人生を全否定するセリフなんです! これは言っててつらかったです(笑)。『役者たるもの素を見せるようなことはやるな』『街歩きなんてもっての外だ』『クイズ番組に出るやつの気がしれない』とか、本当に言いたくなかったです(笑)」と、具体例を挙げて笑わせた。

今作に臨み、最近減っている2時間サスペンスの新作にも改めて意欲を燃やす船越。「やっぱり2時間ドラマって、日本が世界に誇れる文化だと思うので、もっともっと活発に作られる時代が来てほしい。そんなことの一助にもなればなっていう思いを持っています。一緒にこのドラマを作ってる皆さんは、2時間サスペンスに育てられたプロデューサー、脚本家、そして俳優という布陣で作ってますから、これはパロディのようでディスってるところは全くありません。本当に2時間ドラマ愛にあふれた作品になってますので、『また新しいものが見たいね』なんて思っていただけたら、一粒で二度おいしくなりますね。昭和のコマーシャルですいません(笑)」と、冗談を交えながら期待を語る。

また、「テレビの持つ役目って、コミュニケーションツールだったと思うんですね。家族で見て、次の日に友達とテレビについて語る、それでコミュニケーションが潤滑になっていったけど、核家族化が進んで、スマホで見られるようになって、どんどんパーソナルになって、コミュニケーションツールの意味がなくなってきたと思うんです。そんな中でこのドラマは、小さいお子さんも出るし、20代、30代、40代、50代、60代、70代全ての出演者がいて、どこかに感情移入できるお話ばかりでございますので、視聴がバラバラだとしても、どこかで話題にして皆さんのコミュニケーションが増えていけばなって思ったりもして、このドラマを演じさせていただいております」と、作品に込めた思いを話した。

  • (左から)大橋彰、船越英一郎、戸田菜穂