アウトドアブームでキャンピングカーの選択肢も増えているが、英国製のクラシックな「ベッドフォード」に乗って出かければ目立つこと請け合いだ。長いバカンスをリゾート地で楽しむ欧州の文化を色濃く反映した1台に「AUTOMOBILE COUNCIL 2023」(オートモビルカウンシル2023)で出会った。

  • 「ベッドフォード」のキャンピングカー

    「ベッドフォード」のキャンピングカーに出会った(本稿の写真は撮影:原アキラ)

「素」の状態なら500万円台で入手可能?

レトロでファニーな顔つきと天井に高く展開したピックアップルーフ。「AUTOMOBILE COUNCIL 2023」の会場でかなり目立っていたのが、「RANGERS/CCJ」ブースに展示されていた英国製キャンピングカー「ベッドフォード・CA ロマニー ドーモビル」(1969年型)だ。

  • 「ベッドフォード」のキャンピングカー

    かわいい顔つきが特徴的な「ベッドフォード・CA ロマニー ドーモビル」

長いバカンスにはロングドライブを敢行し、リゾート地へ向かうのが当たり前の欧州では、1920~30年ごろから車内で宿泊できるキャンピングカーという形態が早くも登場しており、英国、フランス、イタリアなどには、クルマを架装してキャンピングカーを作るコーチビルダーが多数存在していた。

展示車両のベースとなっているのは、英国ボクスホールの子会社であったベッドフォード社のセミ・キャブオーバー型小型商用車「CA」だ。フロントガラスの真下には社名の「BEDFORD」と、このクルマの愛称である「ROMANY」(ロマニー)の文字が。左右の短いフェンダーには、キャンピングカーに改装したモデルであることを示す「DORMOBILE」(ドーモビル)のエンブレムが取り付けられている。

  • 「ベッドフォード」のキャンピングカー
  • 「ベッドフォード」のキャンピングカー
  • 「ベッドフォード」のキャンピングカー
  • 小型商用車をベースとしているので実際に見ると意外に小さい

展示車両は最終型の1969年製。ボディサイズは全長4,216mm、全幅1,778mm、全高1,899mmと意外にコンパクトだ。1.5L直列4気筒OHVエンジンは運転席の足元まで張り出す形で搭載されていて、代わりに室内空間はたっぷりと確保されている。

  • 「ベッドフォード」のキャンピングカー
  • 「ベッドフォード」のキャンピングカー
  • 「ベッドフォード」のキャンピングカー
  • コンパクトなクルマだが室内空間はたっぷり確保してある

コラムシフトの3速MTを介して最高速度105km/hまで引っ張ることができたが、加速力は0-60mph(97km/h)が22.6秒というから相当ゆったりとしたもの。パッセンジャーに負担をかけないという意味では、これで十分という性能なのかもしれない。

前席後方には横向き2列のシートを装着。その後方左側には最新のレンジと冷蔵庫、右側には調理台とシンクが取り付けてある。このキッチンがあれば、今時のキャンプライフにも何不自由なく対応できるはずだ。これで価格は800万円というから、なかなか魅力的。担当者によると、ここまでの仕上げを望まないのであれば、ベッドフォードは500万円台から手に入るらしい。

  • 「ベッドフォード」のキャンピングカー
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  • 「ベッドフォード」のキャンピングカー
  • いろいろ付いて800万円はお値打ち?

人目を引くファニーなルックスから「キッチンカーに改装して使いたい」との問い合わせも多く、実際に都内で稼働中のクルマもあるという。ランチ時間になるとオフィス街にキッチンカーがずらりと並ぶ光景はよく見かけるが、素敵なベッドフォードで販売するお店があったら、そこが一番人気になることは間違いなさそうだ。