脚本家・福田靖氏が手掛けているテレビ朝日系ドラマ『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』(毎週木曜21:00~)が現在放送中だ。今作には、主演の桐谷健太はじめ、比嘉愛未、磯村勇斗が、20年1月期に放送された『ケイジとケンジ 所轄と地検の24時』から3年ぶりに再集結。さらに中村アン、吉瀬美智子、北村有起哉ら新キャストも多数加わり、刑事、検事、判事(裁判官)が時に対立しながらも協力し合って事件の真相解明に向かう、大人のビターな群像劇を繰り広げている。
桐谷演じる仲井戸豪太の妹で、検事をサポートしながら二人三脚で事件の捜査にあたる立会事務官の仲井戸みなみを演じている比嘉。今回は比嘉に、日頃から“お兄ちゃん”と呼び、尊敬してやまない桐谷とのエピソードや、昨年夏から話題作への出演が続く自身の近況について話を聞いた。
■3年前と変わらぬみなみの魅力
――まずは、3年ぶりに演じるみなみの印象を教えてください。
正義感を持って真摯に仕事に向き合い、相手が検事だろうが刑事だろうがダメなものはダメと言える強さを持っているところは3年前と変わりません。今回はメイクや衣装が前回よりキリッとした雰囲気になっているので、経験も積んで少し大人の余裕が出てきた部分を意識して演じています。今作から登場する新しいキャラクターとの関わりでみなみも変化していくと思うので、柔軟に楽しみたいです。
――1話に一度くらいのペースでみなみの関西弁が盛り込まれていて、第2話でも桐谷さん演じる豪太と、中村さん演じる矢部律子検事にピシャリと言い放つラストシーンはとても印象的でした。関西弁はいかがですか。
大阪出身の桐谷さんに毎回監修していただいているのですが、「その言い方は違う!」と言われることもあってやはり厳しいです(笑)。それだけに、関西弁の一言を放ったあと桐谷さんにグッ! と親指を立ててもらえたときは、「やった!」と心からうれしくなります。関西弁はキレがいいので、バシッと決まると気持ちいいですね。ところどころに出てくるので頑張ります!
■“お兄ちゃん”と呼ぶ桐谷健太には人生相談も
――比嘉さんは桐谷さんを日頃から“お兄ちゃん”と呼んでいろいろな相談をされているとのことですが、今作についても何か相談されたことはありますか。
今作には新しく参加される方が多いので、その中で自分が役としてどう存在すればベストなのか、少し悩んでいたんです。そんなことをお兄ちゃんに相談したら、「少しでも不安や疑問に感じたことは、その都度俺やプロデューサーに相談して。納得するまでセッションしよう。俺たちが全部受け止めるから、皆で妥協せずいいものを作ろう」と言ってくれました。今まで、与えられたものを演じるのが私たち役者の仕事だと思っていたので、自分の意見をはっきり言っていいんだと気付かされる言葉でした。みなみを演じた私だからこそ、私が思うみなみ像を話していいし、何より、話しやすい現場をお兄ちゃんが作ってくれています。お兄ちゃんはよく「皆で」と口にしてチームワークを大事にしているのですが、そのチームの一員にしていただけて本当にありがたく思っています。
続編を作るって結構プレッシャーなんです。クランクイン前に1時間くらいお兄ちゃんと電話で話して、すべて真剣に受け止めてくれたおかげで、今目の前の『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』を楽しもうと気持ちを切り替えることができました。頭でっかちになっていた自分をほぐしてくれたお兄ちゃんに感謝です。プライベートでも人生相談に乗ってもらっているのですが、本当にポジティブシンキングで頼もしい存在です。
■30代の女優業は予定調和からの脱却がテーマ
――ここからは比嘉さんの近況についてもお話をお伺いします。昨年夏から『純愛ディソナンス』(フジテレビ)、『作りたい女と食べたい女』(NHK)、『大病院占拠』(日本テレビ)と立て続けに話題作へ出演されましたが、改めて振り返っていかがですか。
どれも全然違う役どころだったので、インスタグラムのコメントを読んでいると、ファンの方が楽しんでくださっているのが伝わってきてうれしかったです。20代で演じてきた役どころのベースがあるからこそ、30代に入ってから、これまでに演じたことのない役にチャレンジしたいという願望を持つようになりました。どんな人間にも癖があるように、私にも「こういう役なら、こうすればできる」という癖があるので、それを崩しにかかろうというのが今の私のテーマなんです。そのために、未経験の役、自分のイメージにない役など、アウェイな領域に積極的に挑戦しています。『純愛ディソナンス』が正にそうで、あんなに悪いヒール役は初めてでした。自分にない引き出しを開くのはすごく勇気がいるし怖かったのですが、やっていくうちに何かをつかめる感覚があって、少しずつ面白いと思えるようになりました。『つくたべ』はLGBTQ+のお話で、同性である女性を好きだということに気付く、言葉にできない心情の描写はとても難しかったですが、演じてみて初めて見えた景色がありました。『大病院占拠』もなかなかないシチュエーションのドラマで。でもそのアウェイ感が楽しくて、予定調和にならないことを求めているんだと思います。ワクワクするようなチャレンジをさせていただくために、「こういう役がやりたい」としっかり伝えるようにしていたので、ありがたいことに有言実行で叶っていった形です。
「出演が続いて大変じゃないですか」「ずっと出ずっぱりで大丈夫ですか」と心配していただくこともあるのですが、むしろ楽しいんです。自分が大事にしているのは「ときめくことができるどうか」。最近のお仕事を通して、改めて認識しています。
――最後に、今作では北村有起哉さん演じる二階堂俊介検事がみなみに一目惚れするという展開となっており、共演シーンも多いですが、そこを含めたみなみの見どころを教えてください。
北村さん演じる二階堂検事は、第1話の登場シーンの掴めない雰囲気からツボでした(笑)。北村さんの、細かい表情の変化や、ジワジワと迫りくるような面白みのあるお芝居が好きだなと感じています。一緒に演じていると「こう来るのか」ということが多くて、人間って予想外の反応や行動をされると興味が湧くんですよね。そんなところにみなみも関心を持つような気がします。みなみと二階堂検事の関係性は、ただの一方通行なのか、それとも……もしかしたら進展していくこともあるかもしれないので、そこもお楽しみに!
1986年6月14日生まれ、沖縄県出身。05年公開の映画『ニライカナイからの手紙』で女優デビューし、翌年にNHK連続テレビ小説『どんど晴れ』(07年)のオーディションでヒロイン役に選ばれる。その後『コード・ブルー ―ドクターヘリ緊急救命―』『マルモのおきて』(フジテレビ) 、『恋愛時代』(読売テレビ)、『DOCTORS~最強の名医~』(テレビ朝日)、『最上の命医』『レンタルなんもしない人』(テレビ東京)、『TWO WEEKS』(カンテレ)、『なつぞら』(NHK)、『日本沈没-希望のひと-』(TBS)、『にぶんのいち夫婦』(テレ東)、『推しの王子様』、『純愛ディソナンス』(フジテレビ)、『作りたい女と食べたい女』(NHK)などに出演。今年は『大病院占拠』に出演し、公開待機作に劇場版『緊急取調室 THE FINAL』(6月16日公開)がある。