東京商工リサーチは4月24日、国内の外食大手主要122社を対象に実施した「大手外食チェーン値上げ・価格改定調査」の結果を発表した。それによると、2022年1月から7割超の企業で値上げが実施されたという。
2023年も大手外食チェーンの値上げが止まらない。国内の大手外食チェーン122社を対象に、2022年1月~2023年4月上旬までの値上げ、および価格改定を調査した結果、2022年1月以降の値上げは86社(構成比70.4%)・115業態に及び、値上げ回数は、「1回」が38社(同31.1%)、「2回」が35社(同28.6%)、3回以上は13社(同10.6%)という結果に。「値上げしていない」企業は36社(同29.5%)で、3割を切った。
値上げを実施した企業をジャンル別にみると、「中華・ラーメン」が20業態で最多。麺原料の輸入小麦の価格上昇が続くなか、スープ原料の業務用魚介だしも今春、メーカー各社で再び値上げをオファーし、今後もラーメンの提供価格を押し上げそう。次いで、「レストラン」「ステーキ・焼肉他」が各17業態、「ファストフード」が14業態と、2022年末以降も輸入牛肉の仕入価格の上昇などにより、牛肉を使用するメニューの価格見直しの波が再び起き、件数を押し上げた。
複数回の値上げに踏み切った主な企業に注目すると、今春まで継続して値上げが行われたマクドナルドのハンバーガーは3回の値上げを経て、2022年年初の110円から170円に、はなまるうどんのかけうどん(小)は2回の値上げで240円から290円に、築地銀だこは8個入りたこ焼きが538円から580円に改定されている。
値上げの理由については、最多は「原材料」の高騰で101業態(前回調査89業態)となり、前回から12業態増加。次いで「物流」が66業態(同53業態)で続く。前回調査からの増加率は、「光熱費」(210.0%増、10→31業態)、「円安」(133.3%増、12→28業態)、「人件費」(78.2%増、23→41業態)と続き、原材料高や円安による輸入食材の価格高騰に加え、サービス業でも深刻な人件費上昇、光熱費上昇を値上げの理由に挙げる企業が相次いだ。
次に、鳥インフルエンザのまん延などで生じた鶏卵不足で、卵メニューの休止や代替メニューへの見直しを行った業態を調べたところ、影響を公表したのは27社・34業態に及び、中でも「中華・ラーメン」の8業態が最多。煮卵の提供制限や天津飯の販売休止が相次いだ。
そのほか、「レストラン」(7業態)では、デザートの種類見直しやモーニングの目玉焼きを代替品に置き換える動きが目立ち、「コーヒー」(5業態)では、サンドウイッチの卵抜きや自社製カスードクリームの提供中止も。「定食」では鶏南蛮に添えるタルタルソースに使用する卵の不足から提供を一時休止するチェーンも見受けられた。